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【文スト】不思議の国の異能少女

第17章 人形の館


「はぁー……ついてないなぁー」

「何がついてないの?」

溜め息を着いてぼやく少女に、キョトンとした顔で訊ねる少年。

「何って……矢っ張り事件だったし」

「うん」

「何でか、アキトと一緒に行動してるし」

「そっか。僕は姉さんと一緒で嬉しいけど」

「………あっそ」

アキトと呼ばれた少年が笑顔で云うと姉と呼ばれた少女、アリスは顔を反らした。

「居たぞ!此方だ!」

「「!」」


男の大声と共に複数の足音が響き渡る。


「もう見つかった!行くよアキト!」

「うん!」


アリスはアキトの手を取って走り出した。

―――

「人形の館?」

「そうなんですよ!その巨大迷路に飾ってある人形が本当の人間みたいにリアルで怖かったんです!」

敦が青い顔をしたまま国木田に話す。

何でも、特設会場を設けて期間限定で行われているホラーイベントに鏡花と参加してきたらしい。

「ふんっ!馬鹿馬鹿しい。所詮、只の作り物だろう」

「敦君、駄目だよー国木田君はお化けが怖いんだから」

「怖くなどない!そんな非現実的なものなど恐るるに足りん!」

ケラケラ笑いながら太宰がツッコミをいれると必死で弁解する国木田。

「でも子供の声とか本物っぽくて怖かった」

「泣き啜る声とか本当、良くできてたよねー」


想像したのか国木田の顔色が少し悪くなる。


「迷路を脱出するだけ?」

「そうなんですよ。結構手が混んでてですねー。僕達が入ったのは古い洋館そのものみたいな建物で1つの迷路を抜けると次の部屋の迷路に行けるっていう感じでした。」

「日本人形ばっかりある部屋の迷路とか、学校みたいな部屋の迷路とか、貧困街みたいな部屋の迷路とか色々あった」

敦と鏡花が説明する。

「でも洋風の部屋の人形だけは少なかったからあんまり怖くなかったね?」

「うん。日本人形と一緒で怖いイメージがあるけど三体くらいしかなかったね」

「へえー襲ってきたりはしないの?」

「人形は襲っては来ませんでした。脅かし役の人はまた別に居るみたいで、そっちに追い掛けられたりしましたよ」

「中々愉しそうだねっ!国木田君一緒に行ってみないかい?」

ビクッ!

「断る!俺はそんなに暇じゃない!行きたいならアリスと行けばいいだろうが!」
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