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【文スト】不思議の国の異能少女

第16章 休息


「そんなことより。何でその事を知っているんだい?」

アリスは首に伸ばしていた手を降ろし、背伸びをやめる。
然し、太宰はアリスに回した手をほどきはしなかった。

「治兄も中也兄とおんなじこと聞くの?」

「中也と同じだって?冗談じゃない。ただ……」

「ただ?」

アリスも嫌がる様子はなく、太宰の腕の中で首を傾げている。

「『あの場に居た』って云うのを信じたくないだけだよ。」

「あー……そう。」

ポフッと寄りかかるアリスの頭を撫でる太宰。

「……矢張り居たのか。」

「うん。」

「それなら姿を見せてくれれば良かったのに。」

「………。」

太宰の言葉に返事をする事無く、アリスは腕を振りほどいて離れると、そのまま太宰達に背を向けて歩き出す。

最初に会ったときの距離ほど離れると歩みを止め、振り返ったアリスの顔は少し悲しそうな表情をしている。

「理由は何となく判ってるけど…それでも何も云わずに居なくなった事、少しは怒ってるんだよ。」

「……。」

今度は太宰が黙りこむ。

「さよならだよ。虎のお兄ちゃん、それから太宰さん。」

ニッコリ笑ってそう告げるとアリスはその場から歩き去っていった。

「待っ――」
「敦君。」

追い掛けようとするも太宰に首を横に振りながらそれを制止される。

「我々も帰ろう。」

―――

「あの、太宰さん。」

「ん?なんだい?」

「結局、現場に行ってないですけど…。」

「そうだね。」

「いいんですか?」

まだ、判っていなかった敦に太宰がハッキリと告げる。

「見た目は愛らしい少女なのだがね。アリスはポートマフィアの五大幹部の一人なのだよ。」

「ええっ!?」

あんな無邪気に笑っていた少女がマフィアの幹部!?否、確かに男達に有無を言わさずに命令に従わせてたけど!


――敦は混乱している。
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