• テキストサイズ

【文スト】不思議の国の異能少女

第16章 休息


「治兄が一緒に居るって事は…貴方が闇市でとんでもない金額が掛けられてる虎さんだね?」

「「!」」

太宰が反応し、敦の顔に『警戒』の色が浮かぶ。

「あっくん…芥川に勝ったんだって?強いんだねー。」

「……如何してそれを……。」

「如何してって云われても……どうしてだったかな?」

うーん、と手を組んで考えているアリス。

「大方、中也にでも聞いたのではないかい?」

「あー……そうかも。抑も、此処に来るのはあっくんの予定だったから。」

「!」
盛大に驚く敦に、ニッコリ笑っているアリス。

「あ、はじめまして。ポートマフィアで自由気ままに生活してるアリスって言います。」

「ポートマフィア……!」

ざわっと自分の身体の毛が逆立つのが判る敦。

あの男たちをアッサリと退散させることができた理由を知り、完全に警戒する。

「敦君。」

その敦に太宰が小声で話し掛ける。

「アリスに敵対心を見せるな。」
「!」

でも!と反論する前に、次の言葉を紡ぐ太宰。

「いいから。向こうが敵意が無いなら絶対に戦おうとしないでくれ給え。」

「……。」

目の前に敵が居るというのに敵意を見せるな、等と無理な話だ。

然し、太宰の云うことは何時も正しい。

それに相手は確かに、芥川のように警戒する程の人間ではない。

「お話は終わったかな?」

「ああ。待っていてくれて有難う。」

ニッコリ笑って問いかけるアリスにお礼を云う太宰。

そっか。
と、短く云うとトコトコと太宰の傍に歩み寄り、首筋に手を伸ばすアリス。

背伸びして、漸く白い指が太宰の包帯の巻かれた首に触れる。

「もう痛くない?」

「ん?何の事だい?」

バランスが悪いと思ったのか、太宰が少女の腰に手を回す。
それを敦が少し顔を赤らめて観ている。

「随分派手にやられてたでしょ?あっくんにも、中也兄にも。」

「!」

敦はその言葉によって、赤から青に顔を染め直す。
「真逆……マフィアに囚われてた時に!?」

「敦君が心配する程の事では無いよ。」

「そうだよ虎のお兄ちゃん。治兄は一寸遊びに来ただけのように居座ってただけだったから。」

「………。」

太宰の台詞にうんうんと頷き、同意している。

果たして本当に敵なのか。
敦は無邪気に笑っている少女を黙って見る。
/ 565ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp