第1章 情報屋
そんな首領の命令が下されてから今に至るまでの数日間、情報屋の情報を集めるため寝る間も惜しんで働いた。
中也の欠伸も頷ける程、ここ最近の仕事の中で1番ハードだったかもしれない。
然し、何も分からない状態から初めて漸く一昨日、有力な情報を得ることが出来たのだ。
「とあるサイトの掲示板に『情報屋です。依頼料:百萬円~』と書いてあって、半信半疑でその人に欲しい情報と報酬の金額等の必要事項を書いてメッセージを送ったら『依頼受理。』ってだけ、返事がきたんですよ。」
「百萬からって……高すぎだろ。」
「他の情報屋との差別化を図っているのだろうね。要は『金さえ積めばどんな情報でも集められます』って事を云いたいのではないかな?」
「!?それって首領が云ってた……。」
「でも、実際にそうなんですよ!しかも驚くことに!翌日には情報を得ることが出来たんです!」
「「!?」」
少し興奮気味で云う情報提供者。
然し、直ぐに元に戻る。
「こんな素晴らしい情報屋なんてこの世に居たのかって位優秀だったから何度でも利用したいんですけどね……」
「「?すればいいではないか。(だろ?)」」
「それが全く覚えてないんですよ……どのサイトのどの書き込みの人だったか。実際に会って情報を貰ったんですけど、相手の顔すら全く。唯一覚えているのは、今話した情報提供までの流れと、現金一括が絶対条件だった事だけです。」
―――
2人はこの情報を得て、すぐに其のサイトを探した。
情報提供者がサイトの名前等ハッキリと覚えていなかったため、矢張り苦戦した。
黒い仕事を請け負うと云った旨の記載ばかりされている所謂、『闇サイト』の掲示板の1つに、漸くそれらしい書き込みを発見したのは日付が変わったばかりの深夜だった。
早速、情報通りにメッセージを送ってみる。
情報提供者が云っていた通り、そのサイトには『情報屋』を唱っている書き込みが複数存在した。
いたずらか、同職者か、或いは模倣犯の可能性だってある。
「返事は?」
中也が草臥れた様子で太宰に問う。
単文で書かれた『依頼受理。』の返信。
そして、数時間後に送られてきた『取引の日時』の確認。
「来たよ。情報提供者の云っていた通りの内容だ。恐らく中りだろう。」
同じく疲れが溜まっている太宰もため息混じりで答えた。