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【文スト】不思議の国の異能少女

第15章 自覚


「まあそうかもね。ポートマフィアで出世を望むより、他所の組織で上に行く方が絶対に簡単だろうし。」

「おや?何故そう思うんだい?」

ベッドから降りて、シーツと掛け布団を整えはじめるアリス。

「治兄みたいな曲者、二人として居て欲しくないっていう願望だよ。」

「詰まり私が優れているということだね?」

「………そこまで誉めてない。」

プイッと外方向く。
そんなアリスをニコニコしながら見ていた太宰も食事の手配か、扉の方へ移動する。

そういえば。

「治兄。」

「何だい?」

突然呼び止められ、扉に手をかけたまま顔だけアリスの方を向く。

「あの娘……如何したの?」

「あの子?」

アリスがどの人物を指しているのか本気で解らないと言わんばかりの顔をする。

「え?とぼけてるの?」

「そんな積もりはないのだけど…ああ。先日の女社長かい?」

「そう、その娘!矢っ張りとぼけたんじゃん。」

「だから誤解だって。で?その子に何か用事だった?」

ドアノブから手を離し、身体ごとアリスの方を向く。

「え?あ、いや…その娘に用事なんか無いけど……。」


聞けるわけがない。
「便利な異能だったけど傍に置いとくの?」なんて。


否定ならいいけど肯定されたら私はどうする?

私も傍に居たいって云うのだろうか。

でも「要らない」って言われたら?


アリスの変な態度に疑問を抱きつつも、その事に触れずに何時もの調子で答えることにした太宰。

「そう?それなら良かった。」

「……何で良かったの?」

「アリスが一度助けてあげたようだから言うつもりは無かったのだけどね。」

ふぅ。一息はいてアリスを見直す。


「もう二度と『あの女』に会うことは叶わないから。」

「!」

ハッキリと、アッサリと言った太宰の言葉に驚くアリス。


二度と会えない――?
処分したってこと?
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