第15章 自覚
「仲間は、誰もが何も覚えてないって云ってたけど…私は、あんな夜遅くにこの場所に居た貴女が情報屋だったんじゃないかって思った。」
「……そしたら私が接触してきたから、その予想が確信に変わった、と。」
「そういうこと。裏の世界で取引をするような人だもの。情報屋だったなら、どう見たって小学生にしか見えないお子様だとしても、あんな夜中に男に追われていた理由の説明がつくわ。」
ニッコリ笑ってアリスに自慢気に自分の推理を告げる。
「まあ、半分は正解だよ。私は情報の取引を生業にしている極々、普通の女の子。裏の世界に踏み入ったりはしてないつもりだけど。」
「普通の女の子は銃を向けられてこんな風に冷静に居られたりしないわ。」
「え?」
首を傾げる。
「………。」
本気でいってるのか?という目を向かい合っている全員に向けられる。
「えぇ!?そうなの?!」
態とか本気か判らないほど大きく反応するアリス。指摘され、思わず中也の方を向く。
「……俺が知るかよ。」
「だよね。中也兄、私より一寸バカだもん。」
「……。」
「否定してよ……。ゴメンナサイ」
無言に耐えきれずにポフッと中也に抱き付く。
その頭を撫でてやる中也は怒ってはいなかった。
本当の事だしな。
一息吐くと、視線をアリスから女社長へ移す。
「+++は部品業で有名な会社だったじゃねーか。アリスはその連中と取引しに行って襲われただけ。
あくまで表の世界で取引する筈だった。なのに何でお前はアリスが裏の世界で生きていると断定した?+++との取引に、裏の連中が絡んでるって知ってたのか?」
「ええ。知っていたわ。」
隠さずに答える女社長に、思わず眉を寄せる中也。
「アリス、アイツが黒幕みたいだぜ。」
中也が云うと、アリスが漸く中也から離れる。
「違うよ、中也兄。」
「あ?」
「その子は『核』。」
「!」
ハッキリと告げるアリスに驚きの表情を浮かべる中也。アリスは女社長の方を向き、首を傾げる。
「貴女の方こそ+++の『密輸』の方に関わっていた裏の世界の住人でしょ?」
「!」
今度は女の表情が曇る。