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【文スト】不思議の国の異能少女

第15章 自覚


「あー…あの時の。」

「ああ?お前の知り合いか?」

「先日この辺で会ったんだよ。何か厳つい男の人達に追われててねー。」

「……へぇ。」

「聞いたくせに興味無さそうだね。」

「そうだな。知り合いかどうかだけ知りたかっただけだし。」

「むーっ。」

しれっと云う中也の言葉に、頬を膨らませるアリス。

そのやり取りを一通り見終わって咳払いをする女社長。
2人の注目がそちらに戻る。

「『社長』にしては随分若いじゃねーか。」

「当然よ。まだ17だもの。」

「17…」
女の年齢を聞き、何かを考え始めるアリス。

「ん?どうかしたか、アリス?」

「いや、大して年齢変わらないのに大人っぽいなあと思っただけ。」

「ふーん。」

「……さっきから質問する割りには興味無さそうな反応するね。」

「今のはどう反応すりゃ良かったんだよ…ったく。」

あからさまに不機嫌な顔をするアリスの頭を呆れながら撫でる。

「本当に仲良いのね、貴方達。」

「「まあ、そこそこ仲は良いね(な)。」」

「『本当の』兄妹じゃないのに?」


『此方側は全てお見通しだ』と言わんばかりに不敵な笑みを称えながら良い放つ女社長。

しかし……。

「そこまで判ってんなら早く用件を言ってくれねぇか?飯食いっぱぐれてコイツの機嫌が悪ィんだよ。」

「だってお腹ペコペコなんだもん。」

相手が悪かった。

「………。」

予想を遥かに越える展開――全く動じない2人に女社長どころか、銃を構えている男達も唖然としている。

「社長」

「あ……ああ…用件ね。用件は…貴方達を雇いたいの。」

一人の男が小声で話を促すと、我にかえって話を始める。

「何言ってんだ?」

「もう雇われてるじゃん。」

「そうじゃないの!いや、そうなんだけど!」

二人が一斉にツッコミを入れると思わず立ち上がって声を荒ららげる。そしてアリスを指差す。

「貴女はあの日、情報屋として現れたんでしょ?」

「肯定も否定も今はしないよ……取り敢えず続けて。」

確信を持ってアリスに言い放つ女社長。

「情報屋」という単語に男達が僅かに反応する。

「あの後、仲間に聞いたの。私を逃がすために情報屋を利用したって。」


「………。」


アリスの表情が無くなっていく。
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