第15章 自覚
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キーンコーンカーンコーン―……
「此れで昼の作業は終了だ。午後は一時から始める。以上、解散!」
ザワザワ云いながら各々が移動していく。
「お昼ご飯!」
「……目が疲れた。だりぃ…」
「大丈夫?肩叩きでもしてあげようか?」
「あー。頼むわー。」
クスクス笑いながら中也と話しているアリス。
食事にありつけるため機嫌が良い。
「おい、そこの二人。」
他愛もない会話をしながら食堂に移動していると、途中で呼び止められる。
「ん?」
「あ?」
まわりに二人組など居ないため、立ち止まって振り返るアリスと中也。
其所に立っていたのは監視をしていた男と同じ格好をした、別の男。
「社長が君達に会いたいと仰っている。」
二人が自分の方を向くと、用件を簡潔に告げる。
「「………。」」
その一言に顔を見合わせるアリスと中也。
「え?ボーナスくれるの?」
「たった2日で貰えるわけねーだろ。違う用事じゃねーのか?」
「えー。皆の一週間分を半日で終わらせた自信あるんだけどなあー。」
「……それは否定しねーが。」
あまり真面目に聞く気がないのか、暖気に会話する二人に少々苛立っている男。
「兎に角!付いてきなさい!」
大声で言われてムッとしながら男に続くアリス。
それを追うように中也も続いた。
「ご飯……。」
「後で食えば善いだろ。」
呆れながらアリスの頭を撫でた。
「此処だ。入れ。」
広い部屋。
部屋の中央には大きな机があり、その前に4人の男が立ちはだかっている。
そのせいで、机に座っている人物を確認する事はできない。
2人が部屋に入った瞬間に、鍵を閉められ――
チャキッ
「手前等の方が会いたいって申し出た割りには随分な待遇じゃねーか。」
「安心しろ。変な真似さえしなければ撃つことはない。」
その男達に拳銃を向けられる。
そんな状況でも、大した事ではないといわんばかりに鼻で笑いながら嫌味を言う中也と、食事にありつけずにムスッとしているアリス。
「貴方達は矢っ張り只者じゃないようね。」
「「!」」
場にそぐわない女物の声。
その声のした方向を見ると机の前に立っている男が少しずれる。
その姿を捉えると、アリスは「社長」と云われている女に話し掛けた。