第15章 自覚
―――
迎えの車に乗り込み、一緒の車に乗っている部下に指示を出す。
「戻ったら###の取引状況を調べて。何処かに我々の荷物が入り込む隙が無かったか洗って欲しい。」
「解りました。」
「ああ、あと。決め手となった弾を調べたのは誰だい?」
「私ですが。」
「君、独りでかい?大変だっだろう?」
「あ、いえ。◇▼と◆▽の3人で行いました。」
「そうか。私は休んでいたというのに済まなかったね。ご苦労様。君達の待遇を考え直さなければいけないな。」
「!有り難き幸せです。」
フフフと笑いながら労う太宰に頭を垂れる部下。
「***の動きはどうだい?」
「はい。###との抗争での損害が大きかったようで貿易商の仕事のみを行っているようです。太宰さんの指示通りにマネーロータリングを依頼してみたのですが断られました。」
「そう。と云うことは暫くは大人しくしているだろう。」
窓の外を眺める太宰。
そして、何かを思い付いたように運転手に話し掛ける。
「あ、そうだ。×××倉庫街に寄ってくれるかい?」
運転している部下に云うと、バックミラー越しに目を会わせる部下。
「構いませんが…何かあるんですか?」
「いや。中也が帰ってこないらしいからね。何か面倒事に巻き込まれてしまった可能性があるのだよ。」
「大変じゃあないですか!我々も一緒に捜索をっ…」
「いや、私独りで構わないよ。大人数で動けば万が一中也が拘束されていた時が危険だ。それに……」
「……。」
太宰の顔は真剣そのものだ。
「首領の命は『小競り合いの仲裁』だ。***は直ぐに動く気配が無いと云えど、他の連中が動けば再び動き出すかもしれない。だから君達は先刻指示した調査に入ってくれ給え。」
「解りました。」
そうこう話している内に太宰を乗せた車は×××倉庫街に到着する。「此処でいいよ。」の一言で停車する部下。
「それじゃあ其方は君達に任せたよ。何かあったら連絡してくれ給え。」
「「「はい!」」」
そう言うと車から降り、笑顔で手を振って見送る。
そして、車が見えなくなると溜め息を着いた。
「私が居ない間に何人増えることやら。」