第15章 自覚
その作業振りを見ていた中也は固まっている。
2000はある部品、100はある種類の中から、見本に書かれたパート①~パート⑥の品種毎に振り分ける作業だ。
分けるだけなら未だしも、部品の数も品種毎にバラバラだし、共通する部品だってある。
パート①a部品5個、b部品3個、c部品4個…
パート②c部品2個、L部品2個、r部品6個…
の様に、どれ1つとして同じ数はない。
数もバラバラな為、1つ部品を分ける毎に渡されたチェックシートにチェックを入れながら仕分けるためそんなに速く仕分けられる筈がないのだ。
しかも、2000近くある部品から出来る品種の数も、その都度バラバラだから更に混乱を招いているというのに。
「まだ20分も経ってねーんだけど。」
「あ、そう?手伝おうか?お兄ちゃん。」
「そうしてくれや…。」
次の分が届くまで中也の分を仕分けるアリス。
勿論、見本もチェックシートも使ったりしていない。
「……次の分だ。」
「あ、どうもー。でもお兄ちゃんの分まで終わってから此れに取りかかりますねー。」
「ちゃんと見てやっているのか?適当にしていても後でやり直してもらうぞ?」
次の材料を持ってきた監視役の男がアリスにいう。
「1つも間違ってないよ。調べられるなら今直ぐ調べてもらっても良いよ?」
ニッコリ笑って云うと、男は黙ってアリスの分けた箱を持って去っていく。
「何でそんなに速く仕分けられるんだよ……」
「ん?100種6パターンを暗記するくらい大したこと無いよ。」
「ああ…そうだな。お前、頭だけはホント良いもんな。」
「頭だけじゃあ無いもん!お行儀だってそこそこ良いもん!」
「ハイハイ。」
適当にあしらっていると、中也の分の部品分けも終わらせてしまうアリス。
「じゃあ次の便に取りかかろうかなー。」
「ホント、何でもそつなく粉すな…お前は。」
呆れながらアリスに云うと、中也に次の分の材料がくる。
それと同時に、アリスに違う見本を渡す監視役の男。
「全部合っていた。これも追加で仕分けてもらいたい。」
「ほらー。言った通りだったでしょ?まあこんな単純作業、楽しくもなんともないし、如何でもいいですよ。」
そう言いながら渡された見本に書かれているのは更に10の部品の仕分けパターン。