第15章 自覚
「全員が受ける人員点呼だとよ。」
「そうだね。此れであの男も染まってる事が判ったよ。」
その二人の背中を見送りながら話し出す中也。
「……ホント、怖えー能力だな。お前だけは絶対に敵にまわしたくねーよ。」
「私も中也兄と争う気は無いから安心して。」
クスクス笑って云うアリス。
「で?あんな雑魚を引き入れてどうすんだよ。」
「『契約を何回も更新している人』がいれば、少しは安心するでしょ?後は、情報収集が目的じゃないかな?雇われている側が不信に思っている事とかを一早く掴んで対処するためのスパイみたいなモノだよ。」
「成程な。」
「ご馳走さまでした。」
手を合わせてしっかりと挨拶を済ませるとお盆を片付ける。
「却説。荷物を探しに行きましょうかねー。」
「真っ昼間から動くのかよ。」
「はははっ。真逆。」
「?」
アリスの言葉の意味が判らずにいる中也。
「私たちの探し物は、昨日からずっと目の前に在ったんだよ。」
―――
コンコンッ
「―――入り給え。」
ノックの音で意識が浮上する。
「失礼します。あ、済みません。まだお休み中でしたか。」
「否、構わないよ。何だい?」
ふぁーっと欠伸しながら入室してきた男に話を促す太宰。
「我々が使う銃器の弾と同じ弾が、あの死体の山から発見されました。」
「と、言うことは我々の荷物を横取りしたのは***ってことになるね。」
「否、反対です。死体に埋まっている弾丸は違うタイプのモノでした。恐らく、横取りしていたのは***に全滅させられた###の方だと思われます。」
「!」
またややこしいことに。
「如何致しましょう。」
「うーん。片方壊滅してるし、もう帰ろうかなー。」
「そうされるなら手配しますが。」
「そう?じゃあお願いするよ。他の人にも撤収って伝えてくれ給え。」
「解りました。直ぐに。」
そう言うと一礼して退室していく。
「先ずは一人。」
―――
「オイ…あの子見ろよ。」
「す…凄ぇ」
「見本見てねーよな?」
「速すぎだろ…本当に合ってんのか?」
ザワザワいい始める連中をよそに、アリスは部品の仕分けを続ける。自分の目の前に有った、最後の部品を袋に入れるとキョロキョロし始めた。
理由は勿論。
「終わっちゃった。」