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【文スト】不思議の国の異能少女

第15章 自覚


男の質問に無視を決め込み、食事を続ける中也。
其所に別の声が混ざる。

「オイ。妹はどうした。」

「あ?」

目の前にお盆を持って現れたのは不法侵入してきた男。

「何なんだよ…朝っぱらから。どいつもこいつもアリス、アリス言いやがって。」

「おお!アリスちゃんっていうのか!」

「可愛い名前だな。」

駄目だ。完全にアリスを狙っている。

この事を太宰が知れば、『アリス』に何をするか解ったもんじゃない。

アリスを女として独占する気になった太宰の事だ。
他の男に微笑み掛ける事さえも許さないかもしれない。

そうなると、
手足を拘束して。
首輪を付けて。
自分の傍に繋いでおくぐらいでは済まないのではないだろうか―――。

「……オイ。どうにかしろ、アリス。」

「どうにかって……何が?」

「「!」」

食事を持って中也の隣に座るアリス。

「おはようございます。」

「「おっ…おはようございます!」」

ニッコリ笑って挨拶をする。
目の前に居る二人と中也を交互に見た後、食事を始める。

「どうにもならねーな、こりゃ。」

「何が?」

「何でもねーよ。」

「?」

そう言うとアリスの頭を撫でる。

何の事かサッパリと判らないアリスだが、中也に頭を撫でられて嬉しそうな顔をしながら食事をする。

その笑顔を此れでもかって程に見ている二人の内、一人にアリスが話し掛ける。

「そういえば!昨日、夜遅くに点呼?みたいなのがあったんですね。」

「!」

アリスの発言に社員の男が反応する。中也も黙って相手を見据える。

「私、夜更かし苦手で……寝ちゃっててご免なさい。」

「いっ…いや、いいんだ。ちゃんと居ることさえ判れば!」

「何時もあんな夜中にあんのか?」

「ああ。昨日は俺のところも一時くらい回ってきたな。厳しくは言われないんだが『早く休め』って何時も言われる。」

「働いている以上、大人だからな。夜更かしの事については厳しく言わないことになっている。が、本日の業務に差し支えがあったら困るからな。」

「へぇー。俺はてっきりアリスを…」

「断じて違うからな!」

男は大声で否定すると、そのまま離席していった。

それにつられてもう一人の男も席を立つ。
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