第14章 自覚(太宰side)
「…中也兄も私の事、そんなイヤらしい目で見てたの?」
ジトッとした目を中也に送るアリス。
「はあ!?冗談ぬかせ!手前ェは俺にとって我が儘で自分勝手な手の掛かる妹分でしかねーよ!」
突然、予想だにしなかった言葉を掛けられて思わず起き上がる中也。
「…酷い云われ様だけど妹かー。良かった。一緒に寝てて襲われたら如何しようかと思ったよ。」
「誰がそんな命知らずなことするかっ!」
何時も通りの中也の反応をクスクス笑いながら見るアリス。
そして漸く気付く、中也が寝順を譲らなかった理由。
「ああ…そっか。だから入り口側に寝てくれたんだね。」
「……。」
理由など云う積もりなんか全く無かった。
然し、ここまでくると幾ら鈍感のアリスでもアッサリと見抜いてしまう。否定したところで『嘘』だと直ぐにバレてしまう為、押し黙る他無い中也。
何も言わずに再び横になる中也に抱き付く。
「!ちょっ…!手前っ!離れろ!」
「あははっ。有難うー『お兄ちゃん』」
「……先に言っとくが、俺も男だからな。いつ豹変するか判んねぇぞ。」
「憶えておくよ。」
クスクス笑って、中也から離れるとアリスは目を閉じる。
「もう少しゆっくり動く心算だったけど止めるよ。こんな処に長々居たら、中也兄がゆっくり休めそうに無いからね。」
「………。」
「明日動く。」
「…了解。」
こうして二人は目を閉じた。