第14章 自覚(太宰side)
「+++に侵入していたパラサイトは、あたかも***が狙っているかのように偽装し、内部から混乱を生じさせた。」
「………。」
「で、外注の情報屋に捜査依頼。しかし、本当の目的はその情報屋を『***のスパイ』として混乱させ、それに乗じて『+++の密輸技術の核』を奪取すること。」
「何だよ……その密輸の中枢って。」
「+++は密輸業界でも優れていたことは間違いないでしょ?」
「ああ。人数が少なく、小規模じゃなけりゃあポートマフィアも贔屓していたかもな。」
「つまり、それだけの『術』があるってこと。頭の良い人間か、或いは優れた技能を持つ人間か。」
「成程。それが『核』か。」
「そう。それを引き抜いたのは恐らく***――『既にパラサイトに乗っ取られた』***だとすれば。」
「今までも散々、物資の横取りを行っていたパラサイトの能力が格段に上がるってワケか。」
中也の言葉にコクリと頷く。
「そして、横取りした物資の本当の持ち主が必死に探す混乱に乗じて、新たに組織に潜り込む。」
「………。」
本当の敵が『パラサイト』だと仮定しただけで、こうも総てが繋がるとは。
「ここは、+++の表の顔だったって知ってた?」
「は?何だって?」
「+++は密輸業者で有名だけど、表の顔……部品加工業としてもそこそこ有名な会社だったんだ。でも、さっきの男の人が『最近、出来たんじゃねーか?』って言ってたでしょ?」
「ああ…。」
「+++は少人数の組織。恐らく全員で、表と裏の両方の仕事を粉していたんだと思うんだ。」
「……それで?」
「それが4週間前に全滅した。」
「だからそれが何だよ。」
先刻も聞いたと云わんばかりに肘に顎を乗せた姿勢で溜め息をつく中也。
「全滅した筈なのに何でこの施設は動いてるのか。」
「!?」
が、アリスの核心を付いた一言で肘を降ろす。
「***が此方にも居るのか。俺達の荷物も。」
「恐らくね。」
お茶を継ぎ足して、口に運ぶ。