第14章 自覚(太宰side)
部屋に戻ってお茶を注ぐアリス。
「あーあ。緑茶も嫌いじゃないけど紅茶の方が良かった。」
「アリス。」
「んー?」
「お前、あの男が20代に見えたのか?」
「あははっ。まさか」
「じゃあ何で年齢云い中てたんだよ。」
「雇用契約書を盗み見たからに決まってるでしょ?」
「………何のために。」
「あの男にも聞いたけど、この会社が何時から在るのか知りたかったんだよ。」
湯呑を口に運びながら中也の質問に答える。
「抑も、私が此処に来た理由は治兄に荷物を探して欲しいと頼まれたから。」
「それくらい判ってる。彼奴は抗争の制圧に行ったからな。」
「***と他の組織の小競合いなんでしょ?」
「ああ。」
何でもお見通し、か。
口には出さないものの感心する中也。
「***は最近、色々な組織を壊滅に追いやって権力拡大を図っているみたいで、ここ一ヶ月間の動きが急に激しくなった。」
「それで?此処と何か関係あるのか?」
「未だ判んない。」
「……。」
再び、ずずっとお茶を啜るアリス。
「私は4週間前、この近くの倉庫街で+++に情報の取引をしたんだよ。」
「!+++と云えば密輸で有名な組織じゃねーか。でもここ最近壊滅したって……お前の仕業だったのか。」
「違うよ。私じゃない。」
「は?」
湯呑みをコトリと机の上に置いて、中也を見る。
「あの時、+++と取引する予定だった内容は『***が狙っている密輸業者のリストの提示』だった。」
「何だと?じゃあ***は俺達が知る前から抗争を……密輸業者を潰して回っていたってことか!?」
「……いや。中也兄が驚くのも無理ないね。調べたけど、そんな事実は無かった。」
「はあ?なんだそりゃ。意味が解らねぇ」
「でしょ?って訳で、私の立てた仮説を話して良い?」
「そうしてくれ。その通りなんだろ?」
「其れを確かめに来てるから何とも云えないけどね。」
はぁ、と溜め息をつく中也に苦笑するアリス。
「先ず、+++は『既にパラサイトに侵入されていた』って前提で話すね。」
「!」
パラサイト……!
組織を乗っ取り、次に大きい組織の乗っ取りを企てて、実行するを繰り返している連中。
目的は未だにハッキリしていないが、ポートマフィアも狙われた過去がある。