第14章 自覚(太宰side)
太宰は話を聞き終わるとブツブツ呟いたあと、アリスを解放する。
「怪我は大丈夫なのかい?」
「う……うん。跡形もないよ。抑も、かすり傷だったし……。」
「そう。ならいい。」
アリスの頭を撫でる。何時もの太宰に戻った様だ。
その様子にホッとするアリス。
何故、治兄はあんなに怒ったんだろう?
疑問は残ったけど聞くことはしなかった。
聞いたらまた怒りだすかもしれない。拷問に掛けるとまで云っていた程だ。
「取り敢えず寿命を削ってるのでは無いことは判ったよ。」
「それは良かった。」
「その「異能力」持ちの少女は如何したんだい?」
「安全な処まで一緒に逃げて、別れたから。」
首を横に振りながら答える。
「そう。その少女は刺されなかったのかい?」
「そうじゃなきゃ庇った意味無いよ。」
「それもそうだね。」
「え…何?興味あるの?」
「否、全く。しかし、所在は知りたいね。」
ふふ、と笑いながら言う太宰。
「……。興味があるって事じゃん。」
その太宰に聞こえない程の小声で面白くなさそうにアリスは呟いた。