第13章 買い物
「な………っ‼」
「先刻の忠告、もう忘れちゃったんだ?貴方の頭は鳥頭?」
ふぁー。と欠伸を終えるとアリスが男の方を見る。
それと同時に弾が此方に向きを変える。
「!?」
威勢のいい男から再び、怯える男へチェンジする。
「治兄、何か聞いておくことある?」
少女が後ろの青年に訊ねる。
頼む!有るって言ってくれ!何でも話すから!
「無いよ?私がこの一件で知りたかった事は、もう知れたしね。」
矢っ張りそうですよね!?先刻、全部話したもんな!
「?治兄が知りたかったこと?こんな奴の話しなんか聞かずとも、全部分かった上で此処に来たんじゃないの?」
少女が不思議そうに青年に云う。
イヤイヤ!
少女は人の話し半分で真相に行き着いてたって云うのに、この男は全く聞かずに分かってたってことか!?そんな真逆!
「ん?事件の真相のことかい?それは勿論だとも。既に国木田君達が●○の捕獲に当たっているさ。」
どんだけ頭のいい連中なんだよ!
敵にする相手を完全に誤ったパターンじゃねぇーか!
「この人の寿命を数分伸ばしてあげる程の情報料を払って知りたかったことって?」
「アリスの機嫌が悪かった理由。」
「………。」
………は?
サラッと云いやがったが、この男。
俺達の事よりもこの餓鬼の事を知りたかったってか!?
俺の寿命、そんな下らない事だけで伸びたの?
ってか、それじゃあもう助かる術が無いじゃん、俺。
「助かる気だったの?随分、虫が良すぎる話だね?」
「!?」
突然、自分の方に向けて言葉が放たれたためビクッとする俺。
っていうかエスパーか!?こいつ!
「無視してただけで声、唯漏れだからね?」
「そうだったのか!?」
真っ青になった顔で驚く男。
「それじゃあ、もう貴方に用はないから。」
「!?」
アリスが人差し指だけを立てて――
「バイバイ。」
男の方に向けて曲げた瞬間、弾が男の方へ向かって戻った。
弾は男にギリギリ当たらない位置で壁に着弾した。