第2章 夢主
次の日、××が大人に呼ばれた後、直ぐに私も呼ばれた。
「何故?」と聞くと呼びに来た大人は少し震えてた。
今まで一切呼ばれなかったのに。
ふと、昨晩の××の事が脳裏に浮かんだ。
嫌な予感しかしない――。
「着いたよ、入るんだ。」
そう言われて中に入ると直ぐにガシャンと音がした。
鍵をかけられたか。
連れられてきたのは広いお部屋。
天井は高く、何か判らないけど黒い筒が5本位付いてる。
床は真っ白で、一寸眩しい。
壁は入ってきた扉以外の3面が2色。
私の腰くらいから上が硝子みたいな素材で、下は金属っぽい。向こう側が見えないからマジックミラーかな?
そんな部屋に、もう一人立ってることに気が付いた。
よく見ると知っている人だと思う。
下を向いてるから顔が見えないけど。
「××!」
「…アリス。」
私の声に、ゆっくりと××が顔を上げる。
すると、突然、誰かの声が部屋中に響き渡る。
『その子供を殺せ、××』
「!」
その声と同時に××が大きく腕を振りかざす。
私の横を見えない何かが通りすぎる。
ガァァン!!
何かがぶつかる音がする。
「次は当てるよ、アリス。」
××は真っ直ぐ、私の目を見ていった。
『××、お前の斬撃は視角では捕らえられない。連続で攻撃しろ。』
私の側にスピーカーが在るのかな。
五月蠅い。
でも、今はそんなことよりも目の前だ。
「…どうしてこんなことするの?」
昨日、××が言った御免が嘘の反応をした意味が判った。
理由は分かんないけれど。
「そんなこと、お前には関係ない!」
連続で腕を振る。
初めて見る、自分以外の異能力。
こんな形で見るなんて嫌だったけど。
『「!」』
私は一歩も動かなかった。
目に見えない斬撃は私には当たらないと判っていたから。
否。
目に見えないなら当たらない様に操作できるものだと判っていたから。
壁から何度も衝撃音が響き渡る。
『××、態と外してるのか!?お前が軍警に入れる条件はその娘の命だ!』
「態と外したりなんてしていません!斬撃の軌道は振った手の延長線だと言うことを貴方は知っているでしょう!」
必死に言い返す××。
嗚呼、そうか。スピーカーで話しているのは多分。
「××は嘘を付いたりしてないよ、××のパパ。」
『「!!」』
中りみたい。