• テキストサイズ

【文スト】不思議の国の異能少女

第2章 夢主


××の表情は見えない。
けど声が泣いているような気がする。

そういえば、大人たちの呼び出しから戻ってきた時から元気が無かった。

「大人たちに何か言われたの??」

「!」
顔を上げて、此方をみる。

「……否、なんでもな「嘘でしょ。」」

目を見開いて、私を見る。

「アリスには嘘は通じないんだったね。」
苦笑しながらぽんぽん、と頭を撫でる。

「色々判った事があったんだよ。」

「……そっか。」

これ以上は聞いちゃいけない。

何となくそう思って口をつぐんだ。
すると、突然。

「俺の異能力は、振りかざした手の大きさと同じ斬撃を出すこと。指を少し振れば小さな斬撃。大きく腕を振ると大きな斬撃。」

「そうなんだ!」

「アリスは自分の異能力についてちゃんと解るようになったか?」

「うーんと、私の力は「言わなくていいよ。」え?」

「ちゃんと理解出来たならいい。自分だけ判ってればいいことなんだよ。他人に知られると利用される可能性もある。」

「…。」

「助かっても今みたいに利用されるかもしれない。」

「此処を出る日なんて来るのかな?」

「来るさ、必ず!」

またぽんぽんと頭を撫でてくれた。

「私はお兄ちゃんとか居なかったけど××みたいなお兄ちゃんが欲しかったなー。」

「!」

××のお陰で、此の生活も頑張ろうと思えたから。
そんなこと思ってると××が急に私を抱き締める。

「わぁ!苦しいよ、××!」

それでも離さない。耳元で啜り泣く声がする。

「御免。御免な、アリス」

「何で謝るの??如何かしたの??」

泣いてる××に驚いてオロオロする。

「………突然泣き出しちゃって御免って意味だよ。」

私を離して、涙を拭いながら言う。

「さあ、もう寝よう。」
「…うん。」

『嘘』だ。
××は何か隠している。

でも、私は聞き返したりはしなかった。

××が私に初めて付いた嘘だったから。

何か理由があるのかもしれない―――。


そう考えて私も布団に入った。


御免の本当の意味は、明日知ることになる――。
/ 565ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp