第13章 買い物
壁にめり込んだ男を見て、異国の言葉で会話を始める男達。
『一体どうなってる!?』
『この餓鬼が何かしたのか!?』
アリスを見ながらそう言っているとその少女が自分達の方を向く。
『異能力を見るのは初めて?』
『『!?』』
男達が目を見開く。与謝野達も男達と同じ疑問を持ち、思わず声を掛ける。
『お前…俺達の言葉が判るのか!?』
「アリス…アンタ、異国の言葉を話せるのかい!?」
「いや?話せないよ。ただ言葉なんて口から出れば只の『音』。相手に伝わる様に、相手を理解できるように音を組み換えること位なら大したことでは無いよ。」
クスクス笑いながら話すアリスに言葉が出ない。
「じゃあ晶姉。此処は任せたよー。」
「え!?ちょっ…!」
バタンッ ガチャリッ
「アリス!待つんだ!」
大声で叫ぶも、律儀に鍵まで掛けられた扉に阻まれる。
「チッ!このままじゃあアリスが何するか判ったもんじゃあないよ!鏡花!」
「うん!」
異能力―――『夜叉白雪』
「「「!」」」
突然、着物を着た大きな女が現れ驚く女たち。
「夜叉白雪、私達の拘束具と扉を壊して!」
夜叉白雪が鏡花と与謝野の手足の拘束具を破壊し、扉に向かう。が。
「「!?」」
扉に攻撃を仕掛けるべく近付いた夜叉白雪は消え、扉の反対側の壁から出てくる。
「夜叉?如何したの?」
夜叉自体も事態を把握してないようでまた扉の方へ向かう――が同じ事になる。
「アリスの仕業かい!?」
「『ワンダーランド』で空間を操ってるのかも。」
こうなることを想定して、先手を打たれているとは。
鏡花は与謝野の指示で女たちの拘束具を破壊すると夜叉白雪を戻す。
「先刻の女の子といい、その子といい…貴女達は一体何者なんですか?」
味方だから恐怖を覚えることは無かったが、先程から目の辺りにしている光景に驚きしか生じなかった女が質問する。