第13章 買い物
「家族…奥さんが居るのに違う女性達と派手に豪遊してるところをパパラッチに撮られたみたいだね?」
「今までは、そんなことしてる感じでは無かったってニュースで言ってた。」
「急に羽振りが良くなったみたいだって云ったねェ。まるで宝籤で大金が中ったかの様…――」
与謝野は途中まで発言して、漸く何かを悟った。
そのままアリスの方を見ると、何も云わずに頷く。
「一寸待ちな。抑も、何でマフィアが関わってるッて知ってたンだい!?」
「知らなかったよ。私はただ、関わってるなら早く手を引かないと今から動きますって親切に教えてあげただけ。」
「其れだけでマフィア達がアッサリ手を引いたッて云うのかい!?」
「うん。序でに黒幕の名前まで教えてもらえたから確信に至った次第だよ。」
ニッコリ笑いながら応える。
与謝野はこの事実を受け止められないでいる。
「単純な話、私は晶姉が思ってる程に良い子じゃ無かったって事だよ。かの有名なポートマフィアですら敵対する事を避ける位に、ね。」
静かにそう告げると扉の前まで歩み寄り、手を翳す。
「何を…する心算だい?」
「何って…。」
ドタバタと大きな足音が凄い速さで、此方に向かって近付いてくるのが判る。
バンッ
勢いよく開いた扉から男達が入ってくる…ことは無かった。
出来なかったと言った方が正しい。
入ろうとしたところで真後ろに吹き飛ばされ、廊下の壁にめり込む。
「反撃だよ。」
―――
『太宰!お前の言った通りだ。ポートマフィアと政治家の●○氏が関わっている可能性が高く、警察も慎重になっている!』
「●○か……。最近、羽振りが良くなったのは良からぬ事に手を出して稼いだお金ということか。」
『ああ。どうする!?一筋縄ではいかん案件だぞ!?』
「ポートマフィア…は置いといて問題は●○か。」
「ポートマフィア!?」
国木田の電話の声は全く聴こえずにいた谷崎だったが、太宰が物騒な組織の名を発したことに対して大声を上げる。
その声に人差し指だけ立てて口元に当てる仕草をした太宰を見て、己の口を両手で塞ぐ。
「国木田君達は●○氏を当たってもらえるかい?命が危ないと分かれば何かしら話すだろう。」
『……分かった。そっちも気を付けろよ。』