第13章 買い物
「確かに、大きなお屋敷の住人≒金持ちって云うのは偏見かもしれない。でも、聞いてたから解ると思うけど大抵の人が抱いているイメージの中では強いものだよ。」
「……。」
「にも関わらず、貴女は『お金持ち』の部分を否定した。つまり、自分の置かれている状況に重ねて発言したんだと推測できる。だから貴女の住まいが『大きな家』と言った。唯、それだけだから一々突っ込みを入れるのを止めてもらえるかな?話が進まない。」
「……ごめんなさい。」
「貴女の疑問に答えたんだから私の質問にも答えてよ。貴女の家に監視カメラは何台?」
「2台です…。玄関と裏口に。」
「室内には?」
「ありません。」
「此の屋敷の家主は居ないのに、出入口を含めてカメラの数が20台。しかも正常に作動しているってことは、此の屋敷を使用するための維持費を支払ってるって事でしょ?此れが『金持ち』って云った理由。」
「成程。」
「でも…それはあくまでも貴女の推理でしょ?」
数人が納得するように反応するも、その他は後者の発言に同調する。
「まあ。そうなるね。」
「「……。」」
与謝野と鏡花は気付いていた。
アリスが意図的に何かを隠して話している事を。
ピロンッ
「「!」」
「あ、中也兄かなー。」
そういうと携帯電話の画面を確認する。
その画面を見てアリスはクスリと笑い、その反応が気になり画面を覗き込む与謝野。
『手を引く。後は好きにしろ。』
「!?」
ポートマフィアが何の条件もなく、この一件から手を引いた!?
短い要件のみの文を目にして与謝野は言葉を失う。
関わっている以上、大なり小なり損失が出ることは間違いない筈なのに、こんなにもアッサリと手を引くことなんて有るのだろうか。
驚愕の状況に思考回路が混線状態にある与謝野。
「晶姉は政治家の●○って知ってる?」
「あ…ああ。大物じゃないか。最近、女性問題のスキャンダルが報じられて知名度が上がったんじゃないかい?」
突然、話題を振られて一瞬、言葉を詰まらせるものの応える与謝野。