第2章 夢主
或る時、書物室に居たけどお風呂のお湯を止めてない事に気付いた。
「大変!怒られちゃう!」
慌てて書物室から出たら、其処はお風呂場だった。
「……何で?」
真逆と思い、お湯を止めて今度は書物室に行きたいと思いながら扉を出る。
書物室だった。
行きたい場所に繋げることが出来るのかも。
他の子達は、決まった時間に大人が呼びに来るけど、私は呼ばれない。
何もされずに過ごす日々を利用し、××の教え通り、知識を蓄えることにした。
推理力を養うため本を読み漁ったり。
ハッキングの方法を覚えたり。
毒物や爆発物を生成する方法を覚えたり。
普通の生活では絶対に必要無い知識にまで手を出した。
私は分かっていたんだ。
此処から出られても帰る場所など無いことを。
普通の生活に戻ることは出来ないことを―――。
―――
それから数週間が経った、或る日の夜中。
ふと、人の気配がして目を覚ます。
××が起きていた。
「眠れないの?」
「!アリスか。起こしちゃった?」
突然声を掛けちゃったからびっくりしたみたい。
私は首を横に振る。
××の隣に座ると××が話始めた。
「俺の父上は軍警なんだ。しかも結構、上の階級のね。」
「!」
「父上は立派な人だった。だからきっと助けが来ると、希望を捨てなかった。それに、夢もあるしね。」
「どんな夢?」
「父上と同じ軍警になって皆を護るのが夢だよ。」
そう言うと、××膝を抱える様に座り直し、その膝に顔を伏せる。