第13章 買い物
「凄い人集りだね。」
「なになに?『期間限定 恐怖!悪霊の住む迷路屋敷』?」
「ヘェ。愉しそうじゃあないか。入ッてみるかい?」
「鏡花ちゃん如何する?」
「怖そう……でも一寸入ってみたい…かも。」
怖かったー!と出てくる親子連れを見ながら答える鏡花。
アリスと与謝野は顔見合わせて微笑み、頷く。
「じゃっ!レッツゴー!」
―――
ガチャッ
「!」
扉の開く音が響き、与謝野と鏡花が其方の方を向く。
他の女たちはビクッと肩をあげて驚いた。
「今日の収穫も上々じゃねーか。」
「へぃ。有難うございます。」
入ってきたのは七人の男。
その内、二人以外は日本人では無いようだ。
聞き慣れない言語で話している。
「アンタ達が誘拐犯かい?お化け屋敷を利用するなんて屑の極みだねェ。」
「はっ!良い案だろ?女だけのグループのみを狙ってるお陰で警察もまだ嗅ぎ付けてねぇからな。そろそろヤバイかもしれねーが今日で最後だ。」
与謝野の言葉に男が自慢気に話す。
「……妾達を如何する積もりだい?」
「決まってるだろ?奴隷として売るんだよ。お前みたいな気の強ぇ女も大人しく従順になるようしっかり調教してやるから覚悟してろ。」
「そいつは有難い話だねェ。」
「今すぐ調教に取り掛かりてぇ位、生意気な眼をしてる女だが…取り敢えず明日だ。精々、綺麗な姿で居られる最後の夜を泣きながら過ごすんだな。」
「……。」
「明日の早朝……5時が出発だ。準備しろ。」
「はい。」
下衆な笑い声を上げて、部下の一人に指示を出しながら部屋を去っていく。
「奴隷商だッたか。」
与謝野が呟いたと同時に、他の拘束されている女達が一斉に泣き叫ぶ。
「イヤ!家に帰してよ!!」
「そもそも×○×がお化け屋敷に入ろうって言わなきゃこんなことにならなかったのよ!」
「そうよ!貴女のせいで!!」
大声でお互いを罵り合う女達。
「少し落ち着きな!」
「そうだよ!警察も捜してる筈だからっ…!」
必死で女達を落ち着かせようとする与謝野と鏡花だが、逆に興奮させてしまったようで怒りに満ち溢れた眼差しを向けられる。
「何よ!?貴女達は連れてこられたばかりだからそんなことが言えるのよ!」
「そうよ!三日も待ってるのに!」
「「……。」」
怒鳴るように言い放つ女達に黙り混む二人。