第12章 意図的な再会
それもそうか。大金がかかってるもんね?
「私がその人達みーんな殺しちゃったから。だから人買いは来ないし、私は此処に居る」
「「!!!」」
頑張ってニッコリと笑ってみせてそう云うと、二人は腰が抜けたようにその場に崩れ落ち、後退りする。
「私、大金で売られたって聞いてたけど……それでもまだ借金があるんだね?不思議だなあ。」
二人にゆっくり歩み寄りながら話し掛ける。
よっぽど私の事が怖いみたいだから施設の人に何か聞いてたのかもしれない。
アキトを売る話の時にかな?
「だから次はアキトを売っちゃうんだね?あ!ママのお腹、一寸大きいね。赤ちゃん居るの?」
「え……ええ。そうよ!だからお金が要るのよ?でも私達はアキトを売ったりするつもりは――」
「嘘は通じないって何度言えば判るの?」
私の声にビクッとする女。
お腹なんて全然大きくない。
ただ確認しただけ。
でも予想通り、子供を身籠ってた――。
繰り返す――永遠にこの不幸を。
―――………止めるには?
パリーン
「「!?」」
窓ガラスが一斉に割れる。
その破片は落下すること無く二人に向いた状態で浮いている。
「待ってくれアリス!話せば判る!な?」
「そうよアリス!ほら!今日は貴女の誕生日じゃない!ご馳走をすぐ用意するわ!ね?家族3人でお祝いしましょう?」
「―――4人でしょ?そんなことも判らないんだ?」
「いっ……今のは言葉の文よ!?ね?!貴方!」
「そうだとも!」
「貴方達二人にとって子供は只の金蔓だものね。仕方ないや。」
私は右腕をスウッと挙げる。
その動きに従うように硝子片も少し上昇する。
「だっ…誰か!!助けてくれーー!!」
「人殺しが此処にーー!」
本当に腰が抜けているみたいで全く動けない二人。
「無駄だよ?窓ガラスが割れた音すら他の人達には聴こえてない。」
「「!?」」
「そういうワケだからあの世で反省…はいいや。後悔してね?」
「あっ……あああ……」
ガダガタ震える二人にそう告げる。
お別れは笑顔が良いと思い、満面な笑みを浮かべた。
バイバイ―――
私は躊躇うことなく手を振り降ろすと硝子片が二人の心臓を目掛けて降り注ぐ。
耳を防ぎたくなるような絶叫が響き渡り――止んだ。