第12章 意図的な再会
『金』……か。
この家の住人は狂ってたんだね。
何かの本で読んだ『7つの大罪』……
その欲に溺れて、また違う罪を犯す罪人。
あのお金でやり直すっていう選択肢は無かったのか。
だからアキトが生まれたんだろう。
でも結局、あの二人は自分達だけが幸せになるために他の人を不幸に落とすことを厭わないんだ。
子供は所詮、只の金蔓。
じゃあ私の存在は
既に全く意味が無い。
私がどんな目にあったか知らない二人。
アキトがどんな目にあわされるか考える気もない二人。
ああ…頭の中がグルグルする。
前にモ有っタなア、コノ感ジ。
きっトアキトも売れレば次の子供ヲ身籠る。
いヤ、もうお腹の中ニ居るカもシレナイ
コンナ人タチ親ナンカジャ無イ
要ラナイノハ産マレテクルコドモ達ノ方ジャナイ
アナタタチノホウダ―――
ガチャリッ
二人の声がする部屋、リビングに入る。
「誰!?勝手に入っ…てきて……」
「………。」
私の顔を見ると直ぐに赤かった顔が青になる。
「勝手に?私のお家なのに許可が要ったんだね……ごめんなさい」
2人の顔が真っ白になる。
「そっか。もう誰かすら覚えてないんだ。そうだよね。」
私の姿を見るなり怒鳴りつけた女も、思わず立ち上がって不法侵入者に警戒した男も、固まった。
「如何したの?幽霊でも見たような顔をして。そんなに怖いかな?私の存在。」
笑顔を作ってみせると二人は震えだす。
「な…何言ってるの!そんな訳無いじゃない!私達はあの人達に騙されてアリスを誘拐されてしまったのよ!?ね、あなた。」
「あ…ああ!そうだとも!直ぐに捜したんだが聞いていたところに居なくて今でも必死に捜してたんだぞ!」
「薄っぺらい嘘だね。吐き気がする。」
「「!?」」
自分でも分かるくらい笑顔が崩れてる。
きっと今は無表情。
「あ、そうだ。心残りがないように教えてあげるよ。」
「なな…な…何をだい!?」
声も裏返ってる上、震えている男。
大人のくせにみっともないや。
「アキトを買ってくれると云った人買いだけどね。もう来ないよ。」
「何でその事を…」
女の方が未だ落ち着いてるみたい。
「何でって…そんなの決まってるでしょ?」
「「……。」」
私の言葉を待つ2人。