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【文スト】不思議の国の異能少女

第12章 意図的な再会


―――

12月24日。今日は私の誕生日。

あの施設を出てから名簿に載っている人達の処に話を聞いてまわってたら、こんなに遅くなっちゃった。


この日になったのもきっと何かの縁なのかな――。


2年振りに見るお家は何も変わって無いように見えるけど、ご近所の噂話では相当変わったみたい。

急に羽振りが良くなって金遣いが荒くなったとか、色々な男と女が日替わりで出入りしているとか。

――全然、いいお話は無かった。


きっと、だからだ。
あの名簿の一番下にあった名前。

「夢宮アキト」って名前があった理由。


スーッ……ハー。

深呼吸をしてドアノブに手を掛ける。

「異能力―――『ワンダーランド』」
ガチャリと音を立てて鍵が開くと、靴のまま中に入った。

散らかってる――。

靴は玄関に入らないくらいイッパイ並んでるし、お洋服も散らかってる。
ゴミもそのまま。

「―――!」
「―――!?――!!!」

「怒鳴り声……。」

その声は忘れもしないパパとママの声。
今まで聞いたことの無いくらい大声だけど間違いない。

声のする方へ足音を立てないように近付く。


暫く二人のお話でも聞こう。


「オイ!返済期限が迫ってるんだぞ!?アキトを買ってくれると言った人買いは未だなのか!?」

「私の方が聞きたいわ!ああ、欲しいバックがあるって云うのに!」

「真逆、お前が独り占めしている訳じゃ無いだろうな!?」

「何ですって!?貴方の方こそ全額あの女に貢いだんじゃ無いんでしょうね!?」


罵声。

私がいた頃にもこんな風に言い合ってたのかな。


それは気付いたらダメなことに気づいちゃった私のせい?

それとも―――

「いや、今はこんな風に言い争いしてる場合じゃない」

「そ……そうね。お金よ。お金さえあれば………」
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