第2章 夢主
此処に来て1年以上経った。
もう7歳。本当なら小学校に行ってたはずなのに。
でもそうじゃない状況で、自分でも分かるくらい子供らしさを失ってしまったと思う。
私の異能力は嘘を見抜く能力。
そう思われて施設に連れて来られたが、初日でそうではないことを証明してしまった。
理由は、此処に連れて来た3人を一瞬で殺したから。
「こんな異能力聞いてないぞ!」
慌てふためく者も居れば、
「此の能力を得られれば正に無敵だ!」
意欲が湧いた者も居たみたい。
あの次の日、能力の解明と言う名目で前日以上の残虐な手で私を虐待した。
こんな事を毎日されるのかと死にたくなった。
でも、たったの1日で済んだ。
―――また、殺してしまったのだ。
今度は、モニタリングしていた者まで全員。
初日と合わせて21人。
簡単に人を殺せる異能力。
何の力なのかこの時の私が分かる筈がなかった。
私が分からないことを、他の人が分かる筈がない。
何の能力かも解らない為、研究員も私に手を出せなくなったようだ。
「絶対に欲しい能力だが、一歩間違えれば大変なことになる!」
私を見れば怯える大人の方が多くなった。
私は勉強を始めた。
普通なら学校で習うものだけど××が教えてくれると言った。
算数は足し算は解ったけど引き算は難しく、国語は文字を覚えるところから。
私が苦戦してる時に××が「解んない所は、ひたすら練習!紙に書く!というか手を動かしながら覚えるのは効果的と言われているんだよ。」と言った。
だから私は教科書を指でなぞった。
写すより楽だからという、単純な理由だった。
ただそれだけの理由で行ったこの行動は私の能力を1つ自覚させることになる。
文字が光り、頭目掛けて飛んでくる。
「わぁ!」
私が声をあげたせいで皆がこっちを見ている。
けど、皆には見えてないみたい。
何で声をあげたのか不思議そうな顔をしていた。
びっくりしたけど、その文字の内容が、急に解るようになった。そして1回入ると忘れる事が無いみたいだ。