第12章 意図的な再会
―――
「アイツが何も考えずにお前の処に行けば、お前は必ず会ってやると思ったんだよ。」
「私、中也兄に考えを見透かされる程、単調に行動したりしてないんだけど。」
「でも中りだろ?だから俺に文句云いに来たんだろうが。」
「……。」
ムスッとしながら中也を睨み付ける。
図星のためか無言でいるアリスの頭を撫でてやる。
「お前なんだろ?」
「……何が?」
「アイツ名義で施設に大金を寄付したの。」
「………。」
「それだけ大事にしてるんだから会いに行くくらい良いじゃねーか。」
「止めて。そんなんじゃない。」
中也の手を払い除けると外方向くアリス。
「あれはあの二人の死亡保険。」
「……あっそう。」
苦笑しながらアリスの台詞に納得する中也。
「アキトに喋ったら中也兄の秘密、ポートマフィア中にバラ蒔くから。」
「オイ。何だあ?俺の秘密って!?」
「……知りたいの?」
ジトッとした目で見てくるアリスに1歩後退る中也。
アリスの後ろには大嫌いな太宰が居ることを考えると、ろくでもないことを吹聴してまわる可能性が非常に高い。
「チッ。脅さなくても話さねーよ。」
「判ってれば良いよ。」
ニッコリ笑って立ち上がる。
「帰るのか?」
「早く帰らないと後が怖いからね。」
「帰さねーよって云ったら?」
「殺してでも帰るよ。」
笑顔を崩すことなく告げるアリスに溜め息しか出てこない。
「気を付けて帰れよ。」
「心配してくれるの?矢っ張り中也兄は優しいなぁ。」
中也はバイバイと手を振りながら去るアリスの後ろ姿に向かって小さく呟いた。
「心配なのは相手の方だっつーの。」