第12章 意図的な再会
―――
「あの子達を逃がさなきゃ!」
私は走った。
沢山の大人の追跡を掻い潜りながら。
何時もの部屋へ。
一年以上、一緒に過ごした人達のところに。
此処から出るんだ。
みんな一緒には無理だったけれど―――
きっとチャンスは今しかない!
息を切らして目的の部屋に辿り着く。
バン!っと大きい音を立ててドアを開けた。
「皆!早く此処か…ら…――」
中に入りながら大声で云う。
けど。
目の前に在るのは私の見知った皆じゃなくて
私の見知った皆だった塊。
バタバタと此方に近付いてくる大人数の足音が響き渡る。
私を追ってきていた大人たちのモノだろう。
嗚呼…そうか。
「居たぞ!」
「相手は子供一人だ!なんとしても始末しろ!」
「怯まず攻撃しろ!」
大人たちの叫び声と、轟音に似た銃声が響き渡る。
××は自分以外の子供たちが『生きて此処から出られない事』を知っていたんだね―――。
その塊をもう一度だけ見て、足音の方を向いた。
「くそっ!銃は全く効かねーじゃねーか!」
「この化け物め!刻んでやる!」
目の前の男たちが発砲を止めてナイフを取り出した。
発砲を止めたワケじゃなくて、ただの弾切れかな?
銃を投げ棄ててる。
にしても。
「化け物―――か。」
私をこんな風にしたのは貴方達なのに、ね。
「××のパパは『××は知り過ぎた』って言ってた。まだ此処を探せばある筈。―――探さなきゃ」
目の前に広がる赤い塊を踏みながら、廊下を歩きだした。
時々、大人たちが部屋や廊下の角からお化け屋敷のお化けみたいに出てくるけど気にしない。
もう逃げることを止めた。
だから驚きもせずに肉の塊に変えるだけ。
あ、一応は驚いてあげた方が良かったのかな?
なんて考えていると××と戦ってた部屋の隣に、もう1つ部屋があることに気付く。
「『資料室』……。」
私は迷わずその部屋に入った。