第12章 意図的な再会
「そう言えばアリス。」
何かを思い出したように視線をアリスに戻す。
「何?」
「私に何か用だったのでは?」
「ああ…忘れてた。」
そう云うと、此処に来るまでの経緯を話すアリス。
その話を太宰だけでなくアキトも黙って聞いている。
「―――話は判ったけど。『ポートマフィア』と断定した理由が弱い。」
「他の人達はアッサリ信じたのに。治兄キライ。」
プイッと外方向く。
「おや。そんなこと云うのかい?傷付くなあ。口止め料…今、此処で払ってもらっても構わないけど?」
「キライって言ってごめんなさい。」
「判ってもらえれば良いよ。それで?」
「……ん。」
ムスッとしながらアキトを指差すアリス。
「そういうこと。」
それだけで納得する太宰をアキトは驚いた顔で見る。
「今ので……何が判ったんです?」
「ん?放火犯が君だって事が、かな。」
「!?」
「君の異能力も特殊のようだね。無関係なモノを燃やさずに全焼か。」
アキトが警戒するも、放火を咎めるどころか感心した様子の太宰に拍子抜けした表情を浮かべる。
「僕の『ミラーランド』は認識できる実体の無いモノを自由に操る異能力です。」
「へぇー便利だねー。でも関心はしないな。自分から敵に情報を与えるなんて。」
「姉さんの異能力のこと、中也さんから聞きました。隠しても意味が有りません。」
「私、中也兄にほんの一部しか教えてないけどね。」
「え!?あれで一部!?」
「あれがどれかは分かんないけど。アキトの能力も私が出来ることの一部。だからあの時『火』を操れなかったんだろうね?」
「………。」
「………此れでイーブンだよ。今度からは軽々しく力の事、喋らないようにね。」
そう云うと立ち上がるアリス。
「何処に行く心算だい?」
「中也兄のところ。情報収集の序でに、一言文句言わないと気が済まない。」
「私がそれを許すと思うのかい?」
「許してくれないの?」
「当然。」
「…自分は私に内緒でアキトと会っていたのに?」
「それとこれとではワケが違う。」
どうワケが違うのか。
ツッコミを入れたかったが止めた。
こういう場面で太宰に勝てたことなど一回たりとも無いのだ。