第12章 意図的な再会
「アキト君。」
「はい。」
「君の両親は不慮の事故ではなく他殺だった。動機は、その事実を元に自分で探し給え。」
「「!」」
太宰の言葉にアリスとアキト、両名が同じ表情で反応する。
「なに。難しいことではないさ。アリスは当時、たった8歳の子供だ。調べても判明しない複雑な理由など有るわけが無い。」
「……確かに。そう言われれば……そうですけど。」
「君の傍にはアリスを昔から知っている者も存在している。環境は充分過ぎるほど整っている筈だ。」
「……でも。」
「こういう細かい事に疑問を抱き、そこから情報を集められないのならば…とてもじゃ無いけどマフィアとしてやっていけないよ?」
「!!」
太宰の指摘に思わず立ち上がるアキト。
「治兄…脅し過ぎだよ。大体、アキトがマフィアに入れた理由は情報収集力じゃなくて異能力を買われただけだから。」
太宰とアキトが会話している間、ケーキを食べ進めていたアリスは最後の1口を頬張る。
「へぇ。君も異能力者だったのか。」
「一応…。この間、姉さんに完敗しましたけど。」
ムッとしながら答えたアキトを外方退けで何かを悟ったように呟く。
「成程ね。……それで、か。」
「!」
「?」
その一言にアリスはハッとし、アキトは首を傾げる。
「何がですか?」
「いや、なに。たった今、明確に判っ――んぐ。」
「これだから頭が良い人と会話するのは嫌なんだよ。」
舌打ちしながら慌てて太宰の口元を両手で押さえるアリス。
その手首をポンポンと叩く。
もうこれ以上は話さないという意思表示の様だ。
その意を正確に汲み取ったのかアリスが手を離す。
「却説、口止め料に何をして貰おうかな。」
「……ホント性格悪い。知ってたけど。」
ニッコリ笑いながら再びアリスの頭を撫でる。
ムスッとした顔で毒を吐くも、太宰は気にもしていない。
「あの……?」
端から見たらただイチャついている二人に、漸く話し掛けるアキト。
「アキト君。矢張り、動機は自分で捜し給え。此の件に関して、アリスが自分の口から真実を語る事は絶対に無い。」
「!」
「……。」
ニッコリ笑ってアキトに告げた。