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【文スト】不思議の国の異能少女

第12章 意図的な再会


「治兄。こんな処で何してるのかな?」

「やあアリス。早かったね?」

「そう?まあ少しは急いだからね。」

太宰が自分の座っている隣をポンポンと叩くと、そこにアリスが座る。
座って直ぐにメニューを開き、紅茶とケーキを注文すると、やっと目の前に座る少年の方を見る。

「貴方といい中也兄といい……何を考えてるの?」

「僕はただ、姉さんに会いたかっただけだよ。」

「治兄も。何で構ってるの?大嫌いな中也兄の部下なんだけど、コレ。」

「別に?ただの興味本位さ。」

予想通りだったのか、アリスはうんざりした顔で溜め息をつく。


「お待たせ致しました。紅茶とイチゴタルトです。」

店員が注文の品をアリスの前に置くと、早速食べ始める。

「美味しいかい?」

「うん。」

頭を撫でながら訊ねる太宰に、嬉しそうに答えるアリス。

その姿をボーッと眺めていた山田……否。

「姉さん!」

「…姉って呼ばないでって何度言えば判るの?」

アキトはハッと我に返り、アリスに話し掛ける。

「何度言われても止める気は無い。お願いだよ!両親の事を教えて欲しいんだ!」

カチャンッ

「!」

「……。」

ケーキを食べるために使用していたフォークを大きな音を立てて皿に置く。

その行為にビクッとするアキトと、何も云わずに観ている太宰。

「貴方の両親を殺したのは私だって教えたじゃない。それ以外の何を知りたいって云うの?」

「動機とか…色々知りたいに決まってるじゃないか!僕には知る権利がある筈だ!」

「……。」

アリスは黙ってアキトを睨み付ける。

「アキト君。取り敢えず落ち着き給え。此処には他のお客さんも居るからね?」

「!」

太宰の指摘にハッと我に返るアキト。
慌てて周りを窺うも、誰も此方を気にしていない様子に安堵の息を漏らす。

「アリスのお陰だよ。」

「え……?」

「治兄…余計なこと言わなくていい。」

「アリスも珍しく冷静さに欠けるね?貴重な一面を観れたよ。」

今度はフフッと笑いながらコーヒーを飲む太宰を睨むアリス。
その視線などお構いなしにアキトの方を向く。
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