第12章 意図的な再会
「早速、マフィアに関連してなかったか調べてみます!」
そう言いながら警察官が数人出ていく。
「直ぐに判れば良いね?多分無理だけど。」
アリスがその姿を見ながら溜め息を着く。
「え?」
「我々の調査力でも難しいと?」
アリスの言葉に敦達と案内してくれた警察官も聞き返す。
普通なら「警察官を馬鹿にしている」と、怒りが湧きそうな台詞であったが、大人の対応を身に付けているのか、或いは先程のアリスの推理を純粋に尊敬したのか。
警察官の質問は極々普通の口調でなされた。
その事にアリスは少し驚いたのか少し目を見開き、答える。
「貴方達がどうこうではなくて、相手が悪いんだよ。こんな相手に然るべき恐怖を与える考えを抱くだけならまだしも、実行できる組織なんて私は1つしか知らない。」
「その組織って真逆――」
敦と谷崎の顔が歪む。
二人の反応に、ふぅと息を吐きながらアリスは答えを紡ぐ。
「ポートマフィアだよ。」
「「!」」
やっぱり。
「潤兄とあっくんが原因を調べてこいって云うなら行ってくるけど。」
「「……。」」
アリスの提案に敦と谷崎が顔を見合わせて考え込む。
アリスの情報収集力は探偵社の中でもズバ抜けて高い。
しかし、社長である福沢か、或いは旧知の仲である太宰が許可を出さない限り、其れを行うことを禁止されている……筈。果たしてこの提案に賛同しても良いものなのか。
二人はヒソヒソと会議を始める。
「?」
その光景を首を傾げながら観ているアリス。
アリスに聴こえない様に小声で話しているが、その行為が無意味な事を知らないようだ。
二人の会議では今から福沢か太宰に連絡を取って許可を得てはどうかという結論になりそうな処。
成程。そういうことか。
アリスは福沢と太宰に交わした約束を思い出した。