第11章 変化
此処まで話しても誰も何も云わないためキョロキョロと全員の顔をみて、また話し出すアリス。
「ワンダーランドは何時もの様に対象物に干渉して操作する、私の異能力そのもの。2番目は私の意志に関係なくオートで発動してる状態。」
「例えば?」
「嘘を見破る。」
「成程ね。見破ってる時はアリスの中で『嘘』って判る合図か何かがあるのか。」
「そう。嘘を混ぜた言葉には必ず鈴の音が響く。後は目隠しされた場合でも普通に周りが見えるし、遠距離からの狙撃も到達する前に止められる。」
「………。」
「3番目は他者を異空間に引摺りこむ能力。」
「モンゴメリみたいな?」
「そうそう。でもあの子みたいに万能じゃなくて。屋外での発動は出来ない。あくまで私の異能力は『在るのに無いもの、無いのに在るもの』だから。」
「建物が境界線ってことか。」
「その通り。さすが乱歩兄。だから例えば隣接する倉庫の真ん中だけを壊したいときとかでも隣に被害を出すことなく壊せるよ。」
「凄いですねぇー」
そう云えば……。
国木田の脳裏に過去の事件が蘇る。
「……何時ぞやかに隣との隙間が僅か10糎の真ん中の倉庫だけが全焼する火事があったが……」
「あー。犯人私だねー。○×でしょ?」
「……。」
あっさりと犯行を認めるアリスに言葉が詰まる国木田。
「その話はこんな私に為った理由が絡んでるからすっごい長くなるけど今聞く?」
「!否、気にはなるが……今はいい。」
「そう?じゃあ4番目。これも私の意志に関係なくオートで発動するみたい。多分、即死で無い限り。」
「妾と同じ治癒能力かい?」
「否、違うよ。治癒なんかじゃない。『怪我をしてない状態まで、私の身体の時間を巻き戻す』力なんだ。だから対象者は私だけ。」
「「「!!」」」
「私は力の代償の眠りの様に只、眠るだけ。けど、途中で妨げられて、起きるわけにはいかないから自分で境界線を張ってその空間で眠っちゃうみたいなんだ。本来はその場でフヨフヨ浮いてるらしいんだけど今回、皆の前から消えちゃったのは多分、側に治兄が居たから。」
「……異能力無効化か。」
社長の言葉にコクリと頷くアリス。