第11章 変化
「でも寝るだけだから気にしないで?」
「そっか。それなら安心……ん?」
「「………。」」
ここ数日、聴くことが出来なかった聞き慣れた声がして全員が一斉に振り返る。
その方向に立っていたのは予想通りの人物。
「いやー。ご心配をお掛け…しました?」
「「「アリス(ちゃん)!?」」」
一斉に名前を呼び、駆けつける。
「僕、社長を呼んできます!」
「アリス、あんたナイフで2ヵ所も刺されたッて!傷を見せな!」
「大丈夫!もう怪我は残ってないから!その鋸しまって欲しいな、晶姉!」
与謝野の手にある鋸を見て、青褪めるアリス。
「でも間違いなく刺されてたよね!?」
「あ、うん。それはそうなんだけど…。」
与謝野が握っている鋸が気になるのか。
チラチラと窺って、話に集中出来ない様であるアリスに気付き、国木田が仕舞うようにお願いをする。
「アリス、帰ったか。」
「うん。ただいま。」
苦笑しながら此方を見るアリスの姿に安堵の息を漏らす福沢。
「それで?」
主要メンバーが揃ったのを期に、乱歩が話を促す。
「えっと……?」
「消えたのと、怪我。」
乱歩が短く説明して欲しい内容を述べる。
ああ。と前置いて。
「えっと。私の『ワンダーランド』には幾つか出来ることがあって。あっくん…芥川君みたいに種類が別れてるの。」
思えば能力について此処まで詳しく聞くのは初めてでは無かろうか――ー。
全員が静かにアリスの言葉に耳を傾ける。
「大きく分けて4つ。
①不思議の国【ワンダーランド】
②誕生日じゃない日おめでとう【ハッピーアンバースデー】
③狂ったお茶会【マッドティーパーティー】
そして、今回発動したのが4番目。
④午後3時のお茶会【アフタヌーンティーパーティー】。あ、若しかしたら2番目も発動してるかもだけど。」