第11章 変化
「我々を侮りすぎだよ。一人でも充分過ぎる事案に、クライアントの『早期解決』を重視して三人で係っているからね。このスピードは妥当としか言い様がない。」
「――っ。じゃあ…」
男が手を挙げて、
「お前達を始末するまでだ!」
下ろした。 それと同時に発砲が始まる。
「治兄、どうする?」
「とりあえずこの状況じゃどうしようもないよ。全員を拘束してから彼等が何者か調べよう。」
「判りました!」
「はーい。」
太宰の指示に返事をする二人。
その間も発砲は続いているが一発たりとも三人に届くことなく停止している。
カチッ
銃を所持していた男達に乾いた音が終わりを告げる。
「チィッ」
銃を捨て、ナイフを取り出す。
それと同時に弾が地面に落下した。
「あわわっ。私、ナイフの相手は苦手だよ!?」
そんなことを云いながらも寸での所で綺麗に交すアリス。
「下がって、アリスちゃん!」
アリスに向かう男たちの前に庇うように敦が立ちはだかり、男達を仕留めていく。
「おー。あっくん強ーい!」
その光景を見ながら拍手を送るアリス。
「私の事も誉めてくれていいんだけど、ね!」
「おー。治兄もすごーい!」
「なんか取って付けた様に聴こえるけど。」
「折角、誉めたのに。」
太宰も数人男を仕留め、元警察官の男の拘束に入る。
「がっ!」
やや離れた所からサイレンの音が聴こえ始めた。
「もうそろそろ警察が駆けつける頃かな。」
「糞っ!僕はあの情報屋のせいで人生が狂ったんだ!
あと少しだった出世は疎かクビに為る始末。それだけじゃない!大事な妻と子供にまで棄てられた!」
諦めていないのか、暴れまわる男。
「それは他人のせいではない。それだけの事を自分でしてしまっているのだよ、君は。今の話から推測するに、出世を急ぐあまりに手順を省き、確認を怠った結果、男を見誤ったのだろう?」
「!!」
太宰の指摘に男の動きが止まる。
図星のようだ。
敦も他の連中を倒し終わり、男と太宰の話を黙って聞いていた。
その時、太宰が背を向けている方向で倒れていた男が急に起き上がり、ナイフを持った手を振り上げる。