第11章 変化
「お出でなさったみたいだね?」
「そのようだね。」
「一体どうしたんですか…――!?」
二人の会話についていけない敦が質問する。
が、答えが返ってくる前に理解し、警戒に入る。何時の間にか囲まれていたのだ。
その数、凡そ10人。
手には拳銃かナイフか。殺傷能力の高い武器を所持している為、敵だと云うことが判る。
「敦君、こんな白昼堂々と銃刀法違反の人間がこんなにも。警察に通報したまえ。」
「はいっ!」
やれやれと云わんばかりに太宰が指示すると素早く通報する。
「何か用?」
二人がそのやり取りをしている間にアリスが目前の男達に訊ねる。
すると一人の男が1歩、前に出て口を開く。
その男の顔には太宰もアリスも見覚えがあった。
「警察は騙せても君達は騙せなかった……詰まる所、君達、武装探偵社の人間の中に『都市伝説』とまで噂されている情報屋がいると云うことではないだろうか。と推理したのだが違うかな?」
「さあ?知ってる?治兄。」
「真逆。探偵社の社員は皆、優秀だからね。誰の事を云っているのか見当もつかないよ。」
二人とも首を傾げながら平然と言ってのける。
とぼけるのが上手いな、と通報を終えた敦は心で呟く。
「まあ仮にそうだとして話を進めよう。それで?その情報屋に武装までして一体、何の用だい?」
「見ての通りだよ、復讐さ。」
「!?」
男の発言で更に警戒を強める敦。
「自分が悪い事して警察をクビになったのに逆恨み?」
「!」
アリスの発言で、敦も漸く男の正体に気付く。
「一般市民を誤射した警察官か!」
「その通りだ。僕はその情報屋さえ居なければ今も警察官をやっていられたのにっ…!」
「まあ…警察組織全体で隠蔽してあげようとするくらいだから当時は優秀な警察官だったのかもね?」
「そんな優秀な警察官だったらこんなことする筈がないさ。只、不祥事を揉み消したかっただけだよ。」
「僕もそう思います。」
男を見据えながら自分達の意見を述べ合う探偵者組。
「……云え。情報屋は誰だ?」
その会話に煽られ、男の目に殺意が宿る。
「そんな情報屋等、探偵社には存在してなかったって云ってるだろう?」
「こんなに早く解決出来る筈がない!」
男が徐々に興奮していく。