第11章 変化
全くアリスの事を知らない敦だけが不思議そうにしている。
「あの…どうしたんです?」
「何かこの世の終わりみたいな空気だね?」
「「うぉ!?」」
全員が飛び跳ねるように驚く。
敦の隣に居たのは今まで居なかった筈のアリス。
「何?皆してそんなに驚くことないのに。」
ムッとしながら云うアリスに、一緒に戻ってきただろう太宰がフォローを入れる。
「気配を消したままだよアリス。」
「!」
太宰の指摘にポンッと手を打つアリス。
「忘れてた。道理で会議室でも治兄以外気付かなかったわけだ。」
そういうと指をパチンと鳴らす。
その行為で目に見えて何かが起こった訳ではないが、恐らく何かが起こったのだろう。
「驚かせてゴメンね?」
「「はははは……。」」
全員が乾いた笑い声をあげる。
「アリスちゃんの異能力って何?」
「私の異能力?」
そんな中であまり動じてなかった鏡花がアリスに直接質問する。
それを見ていた太宰以外の三人が心の中で鏡花を誉め称える。
「私の『ワンダーランド』は目に見えないのに確かに存在するモノとか、存在してない、或いは実体が無いのに目とかで認識できるモノを自在に操る異能力だよ。」
「???」
「解り難いかな?例えば前者なら『時間』、後者なら『影』とか。ちょっと例外で『空間』とかも。条件に当て填まれば大抵のモノを操れるよ。鏡花ちゃんに会った時、操ってたのは『音』」
「「……。」」
「あれ?未だ解らなかった?」
キョロキョロと皆を見渡して首を傾げるアリス。
「「いや……。」」
あんぐりしながらアリスを見ているため、説明が下手だったのかと太宰の方を見て助け船を求めるアリス。
そんなアリスに苦笑しながら頭を撫でる太宰。
「皆、アリスの異能力を初めて知って驚いてるだけさ。」
「驚く?何で?」
「出来ることが多かったからじゃないかな?」
「そう?出来ないことの方が多いと思うけど…。」
「凡る事象に比べれば些細なモノだが私もアリスの異能力は万能だと思うよ。」
「そうですよ!無敵じゃないですか!」
ハッとして敦が云う。
その言葉にアリスは首を横に振った。
「万能でもないし、無敵でもないよ」