第11章 変化
「待ってろ……今、茶を淹れてやる。」
「えぇ!?そんな!僕が淹れますから!」
フラフラと給湯室へ向かう国木田を敦が慌てて追いかける。
「直ぐに見付かったようだね?都市伝説並の情報屋。」
「はっ!そうなンですよ!なんとアリスちゃんだッたんです!」
谷崎も敦と同じ様に、興奮したように情報屋の正体を告げる。
「アリスが動いたなら事態の解明もあっという間だ。大人しく待つとしよう。」
「……太宰さん。真逆、知っていたンですか?」
谷崎が恐る恐る太宰に問う。
シーン………。
谷崎の発言で静まった空気。
それに耐えかねて谷崎が突然小さく笑い出す。
「あはは……そんな訳………無いですよね……。」
聞こえる程度の小声で呟くと、国木田と敦が戻ってくる。
「だから言っただろう?『手伝うように言うんだよ』って。」
「矢っ張り、知っていたンですか!?」
「うん。」
ニッコリ笑って谷崎を見る太宰。
その会話を聞いて危うくお茶を落としそうになる国木田。
「国木田さんも知ってたんですか?」
敦が隣で聞くとビクッと肩が上がる。
「…すまん。アリスが情報屋だったのは知っていたんだが。」
「ちゃんと都市伝説並の存在って教えてあげたじゃあないか。酷いな国木田君。私の話をアッサリと忘れてしまうなんて。」
「本当にすまん……。」
わざと落ち込んだように告げる太宰。
この時漸く、太宰が国木田をいい様に言いくるめて仕事を押し付けたんだと理解する三人。
じとっと視線を太宰に送っていると「さてと」と云いながら離席する太宰。
「ケーキでも買いに行こうかな。」
「「「ケーキ?」」」
太宰の唐突な発言に敦、谷崎、鏡花が、同じ方向に首を傾げながら言う。
「そう。報酬が無いと一番大事な情報は教えてくれないからね。」
「「?」」
ニッコリ笑って太宰は探偵社を後にした。