第11章 変化
「ねぇアリスちゃん。」
「ん?何?」
蛍光灯のついでに頼まれた物も買い終わり、荷物を抱えて歩くアリスと鏡花。
「……私、ちゃんとやれてるかな?」
そんな中、ポツリと鏡花が呟く。
「何を?」
「探偵社の社員。」
「やれてるんじゃない?」
「そっか。」
「人殺しの事、まだ悩んでたの?」
「………うん。」
俯く鏡花をみてアリスは荷物を片手にまとめて持ち直す。
そして何時も太宰がアリスにするように、鏡花の頭をナデナデと撫でる。
「ありがとう。」
「この手も、鏡花ちゃんなんかとは比べられない位の人間を殺してるんだよ。」
「……え?」
「100倍とは云わないけど…50倍は殺してるね、確実に。」
「……。」
アッサリと告げられる衝撃の内容に鏡花は驚いてはいるが、怯えはしてない様子。
アリスは鏡花の頭から手を降ろし、笑いながら話を続ける。
「寧ろ上手くやれてないのは私の方。何せ私の入社試験、乱歩兄と神経衰弱だからね。」
「神経衰弱……?」
「きちんと入社試験をパスしてるんだから自信もって良いよ。」
ニッコリ笑って鏡花に云うが、あまり意味はよく判ってないようだ。
そんな時、視界の片隅に何かを捉えたアリスが指差しながら鏡花に云う。
「鏡花ちゃん、クレープだって!食べていこうよ!」
「クレープ…!」
鏡花が目を輝かせるの見て、アリスはこっそり笑った。
「おじちゃん!私、苺とチョコのやつー。」
「はいよー。」
アリスは直ぐに自分の食べたいものを注文するが、鏡花は口元に手を当てて真剣に考えてる。
「あのっ……」
「あ、お姉ちゃんの方も決まったかい?」
「「…お姉ちゃん?」」
鏡花が注文しようと口を開くと、気を利かせて店員が話し掛けるが。
「君が妹さんで、君がお姉さん。似てはいないが姉妹みたいなもんかと思って。」
そう言いながら前者に鏡花を、後者にアリスを指す店員。
「否、姉妹みたいなもんだけど私の方が歳上だから。これでも一応16歳だから!」
「「えっ」」
「鏡花ちゃんまで!?……はぁ。」