第10章 予期せぬ再会
「君が……僕の?え?」
アリスの言葉を受け入れられずに困惑するアキト。
「云われてみれば確かに似てるな。」
髪の色はアキトの方が濃い茶色だが、瞳の色は全く同じ青色をしている。
「気付かなかったの?中也兄。」
「お前の苗字、聞いたことねーからな。」
「まぁ名乗る気なんて無かったし、アキトに会う気なんかもっと無かったからね。」
アリスはうんざりした様子で吐き捨ててアキトを向く。
「私、こんな見た目だけどもう17歳だから。君はやめて。」
「17!?僕と身長とか変わらないじゃないか!」
ぶちっ
「……中也兄……躾がなってないよ……それとも痛い目みないと礼儀って判らないのかな?」
「アリス落ち着けって。アキト謝れ。」
「でも…。」
「間違いなくコイツは17歳、お前より歳上だ。」
「……すみません。」
ハァ。と中也が溜め息を溢す。
「最悪な気分。もう帰ろ……。じゃあね。」
「待って!」
くるっと帰ろうと方向転換したアリスをアキトが呼び止める。
「………まだ何かあるの?タダで知りたかった情報あげたでしょ?今日はもう放っといてよ。」
「――本当に姉さんが殺し……」
「止めて。」
「?」
「『姉さん』なんて呼ばないで。」
「自分で云ったんじゃないか、姉だって。」
「同じ男女の間から産まれたって云っただけでしょ?貴方が産まれる前にこの世から去ってる事になってるんだから姉なんかじゃない。」
「でもっ!」
「止せ、アキト。」
中也が制止するのに大人しく従うアキト。
「さよならだよアキト。マフィアの世界で精々死なないように頑張ってね。」
中也達の方を一切見ずにアリスは立ち去った。
アリスの姿が完全に見えなくなってからアキトに話し掛ける中也。
「聞きたいことも山の様にあるかも知れねーが日を改めろ。」
「でも!さよならって!」
「あいつは今、武装探偵社にいる。」
「「!」」
武装探偵社と言う単語に部下達も反応する。
「逃がして良かったんですか!?」
「死にたいなら行ってこい。今日は頗る機嫌が悪ィ。誰にも知られずに手前等を始末するなんざアイツにとっちゃあ朝飯前だぜ?」