第10章 予期せぬ再会
そう言うとライターの火が大きくなる。
「そうだった……何の異能か知らないけど『火』は操れたんだったね」
「!?」
アリスの呟きはアキトの耳に正確に届いた。
矢っ張りこの人は何か知っている――!
大きくなった火がアリスに向かって襲いかかってきた。
男達も牽制程度に発砲を始める。
「あ?まだ残ってたか」
突然響き渡る発砲音と肌を焼くような熱を感じて4人の方を向く中也。
「何やってんだ、あいつら!」
目に入った光景に慌てる。
「――っ止せ!アリスに歯向かうな!!」
「!中也さん!」
大声で叫ぶ中也に反応するアキト。
然し――
「――もう遅いよ。」
アリスを拘束していた縄がハラリと床に落ちた。
「「「!?」」」
中也に集まっていた注目が一気にアリスに戻る。
銃弾は停止して、くるりと3人の方に方向転換し、
襲ってきた火も同様にアキトの手から離れ、3人を囲むように燃え出した。
「え!?何でっ…!」
自分が産み出した火が制御できずにアキトの顔が青褪める。
「アリス、止めてくれ。後できちんと説教しておくから……頼む!」
慌てて駆けつけた中也がアリスの傍に来る。
「………中也兄は優しいね。でも今日は何時もより機嫌が悪いんだよ、私。知ってると思うけど。」
口許だけ笑みを浮かべて火の中を観ている。
「収まれ、このっ!何で操れないんだよ!」
「………あんなに弱いのに部下にするの?」
「だったら手前が太宰の元から離れて俺だけの部下になってくれるか?」
「………。」
中也がそう云うと3人を囲んでいた火が消え、銃弾が床に転がる。
「それは無理な相談だね」
ポフッと中也に抱き着く。
「だろ?アイツ等が弱いんじゃねーんだよ。手前より強い部下なんざ何処探しても居るわけねーんだから」
「そんなことないよ」
本人も自覚がある通り、何時もの調子ではない。
そんなアリスの頭を撫でてやる中也。
「……ありがとな、アリス。」
「○○のイチゴタルト」
「ハイハイ」
二人のやり取りを驚いた顔で見ている3人。