第10章 予期せぬ再会
必死に逃げ惑う男達。
痛みで叫ぶ男達。
恐怖の表情のまま死んだ男達。
殺されるよりはと火の海に飛び込んでいく男達。
そんなやり取りが繰り広げられているのに全く動じずにアキトだけを見ているアリス。
「あの…俺に何か?」
先にしびれを切らしたアキトが話し掛ける。
「………。」
アリスは答えない。
「中也さんの知り合いですよね?その縄、ほどきます。」
そう言って1歩、足を踏み出そうとした瞬間、
「……如何してマフィアになったの?」
「!」
アリスが漸く口を開いた。
質問され、その場に踏みとどまるアキト。
そして少しムッとしながらアリスに言い返す。
「そんな事、君には関係ないだろ?」
「……。」
アリスは何かを考えるように目を伏せる。
少しだけ時間を空けると目を開け、クスクス笑いながらアキトに言った。
「真逆とは思うけど両親の死に疑問でも持った?」
アリスの言葉に、3人が反応する。
「何故それを!?」
「うわ……当たりなの?面倒くさい。」
アリスはうんざりしながら言い捨てる。
その態度にアキトが苛つく。
「君に何が解るって云うんだ!此れは僕…俺の問題で君に蔑ろにされる謂れはない!」
「じゃあ訊くけど。知って如何する心算なの?敵討ち?」
「それこそ君に関係ないだろ!?」
同調するように傍らにいた中也の部下達も銃を構える。
「お嬢ちゃん」
「我々はポートマフィア。その辺の雑魚達とは訳が違う。この坊もこんな成りしてるけど何年マフィアやってると思ってるんだ?あんまりなめた口を利くと…」
「たった4年弱でしょ?偉そうに」
「「!?」」
図星だったのか、中也の部下達がこれでもかと云うほど目を見開いている。
アキトも言わずもがな、言葉まで失っている。
「あーあ。本当に最悪な一日だよ……。来年からは自分の世界に引き篭ろう……。」
アリスが溜め息をつきながら呟くと、漸くフリーズが解けてアキトが声を上げる。
「…ろよ。」
「ん?何言ってるか聴こえない。」
「お前が知ってること全部答えろよ!」
そう言うとポケットから先程も使ったライターを取り出し、点火する。
「異能力―――『ミラーランド』!」