第10章 予期せぬ再会
シャッターの向こう側には同じ造りの倉庫が見えるはずなのに
「この倉庫………燃えてる……のか?」
見えている景色は火の海。
その両方に驚愕し、男達は震えている。
「……ん?」
シャッターが飛んできたと同時に入ってきた四人を見るアリス。
どうみても先頭に居る人間は知り合いにしか見えず、目を凝らして再度見る。
「シャッター壊して悪ぃなあ。ま、俺達の損失に比べりゃ大した事ねーだろーがよ。」
「「「ヒィッ」」」
ドスの利いた声で告げるマフィア。
「あ、矢っ張り中也兄。」
「あ?」
折角の登場シーンに暖気な声が乱入し、思わず其方を見る中也。
「お久しぶりー。元気にしてた?」
「否、久しぶりってお前……何やってんだ?」
「んーと。人質?」
「はぁ?」
先程までの声は何処に行ったのやら。
予想外の人物が予想外の格好で居たため流石に突っ込まずにはいられずに、呆れながらアリスに話し掛ける。
「お前!マフィアの仲間だったのか!」
「いやいや。冗談きついよ。何処にこんな可愛らしいマフィアが存在すると思ってるの?」
男達がアリスにすがるように問う。
「彼奴の後ろにもお前位のが居るじゃないか!」
「えぇ?そんな真逆――………」
男達が指摘した方向を見るアリス。
確かに中也の後ろに自分と同じ程の背格好の少年が立っていた。
「……何で…………」
その少年を見ると小さく呟く。
その声は誰も拾うことが出来ないほどに小さかった。
「おい、黙ってないで何とか言えよ!仲間なら俺達の事助けてくれ!」
アリスは男たちには応じず、少年から目を離さない。
「?」
自分と目が合っていることにアキトは首を傾げる。
「坊、知り合いか?」
「いえ、初対面です。」
「自分と同じ歳位の人間がマフィアなんかやってるから驚いてるんじゃないか?きっと。」
「そうですね……。」
中也の部下達とアキトが会話を始めるが中也は全く混ざらずに男達を見据える。
「さぁ。きっちり落とし前つけさせてもらおうか?」
そう言うと床を蹴って男達に向かっていった。