第10章 予期せぬ再会
―――
「で?何で私がこんな目に合わなきゃいけないの?」
「黙ってろ!俺達の命が掛かってんだよ!大人しくしてりゃ無事に帰してやる!」
「……。」
嘘は言っていない。
仕方無い。様子見るかな――
アリスは黙って、目の前の男達の会話を聞くことにする。
散歩に出た筈のアリスが居るのは港の側に建ち並ぶ倉庫の1つ。
其処で手足を縄でグルグル巻きにして拘束されている状態。
要は、街中を独りで歩いているところを拉致されたのだ。
「……別に私じゃなくても良かったじゃん。」
「こんな賑やかな街で独り歩きしている餓鬼は手前しか居なかったんだよ!」
「ああ、そう。」
返事を期待した積もりなく呟いた言葉に男が律儀に返答してくれる。
「ってか、もう少し怯えろよ!此れじゃ誘拐にならねーだろうが!」
「大人しくしてろって言ったり怯えろって言ったり、ホント大人って自分勝手な生き物ね。」
「!!!」
20人程いる男の内の一人が顔を真っ赤にしてアリスに向かってくるのを周りが慌てて制止する。
「離せよ!この餓鬼に痛い目見せてやる!」
「止せ!今はそんなことしてる場合じゃねーだろ!早く警察沙汰になって捕まらなきゃ俺達の命が危ねーんだよ!」
「っ!」
男が大人しくなる。
余程の事があるのか。
「誰に狙われてるの?もしかしてマフィアとか?」
クスクス笑いながら尋ねるアリス。
シーン…………
その言葉に全員の顔が青褪める。
「え!?図星!?」
適当に云った答えが正解だったアリスは流石に驚く。
「このままじゃ殺される。早く警察来いよ!」
「……今日は矢っ張りついてない」
半泣きで叫ぶ男達をみて、呆れながら呟いた。