第10章 予期せぬ再会
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「お前の異能力は便利だな。もう全焼か。」
「そんなこと無いですよ。実際、こんなにするにしても火種は要りますから。」
帽子を被った男に言われ、照れながら答えたのは10年も生きたことが無いような少年。
「お前は飲み込みが早えー。体術も、既にその辺の奴らより強い。」
「!有難うございます!全部、中也さんのお陰です!」
素直に感謝の旨を述べる少年に気を良くしたのか、帽子を被った男こと、中原中也は少年の頭をポンと叩くと告げた。
「よし、飯に行くぞ。そんで帰ったら特訓だ。いいな?アキト。」
「ハイ!」
中也の後を、アキトと呼ばれた少年は付いていく。
ある夜―――
「アキトいるか?」
「中也さん!」
ポートマフィア本拠地。
射撃やら格闘術やらを鍛錬出来るスペース。其処で腕を磨いていた黒蜥蜴の中に、違和感を残したまま混じる少年を訪ねてくる中也。
「中原君、仕事かね?」
「広津さん。一寸ボスに頼まれて。」
広津と会話していると、呼ばれた少年が素早く中也の元に駆け付ける。
「俺も一緒に行っていいんですか!?」
「支度してこい。」
「はい!」
そう言うと少年は全力でその場を走り去る。
その背中を見送り、広津と中也は会話を再会する。
「夢宮君が来て4年近くなるが、中原君の云う通り素質があるな。飲み込みも早い。」
「まだ10歳そこそこなのに頭の回転も早えーし、結構役に立つんですよ。まだ表だって仕事はさせてねーけど。」
フッと笑いながら云う中也。
自分の拾ってきた人間が誉められて嬉しいのか。
急に頼まれた仕事で少し機嫌が悪かったのが嘘のように収まっていた。
其処に息を粗げたアキトが戻ってくる。
「中也さん、何時でも行けます!」
「うるせー!もう少し声の音量考えろ!」
「はっ!すみません……。」
「ったく。行くぞ」
「はい!あ、稽古有難うございました!またよろしくお願いします!」
黒蜥蜴の連中に礼儀正しく頭を下げ、中也の後ろに走って付いていった。