第10章 予期せぬ再会
「小学生らしからぬ知識のお陰でしょうね…後は絶対的な異能力。元より賢かったのでしょう」
「………。」
「その過程で例の手帳の存在が判り、再び同じ様な事が起きないように処分すべく裏社会に居たそうです。」
「そうだったか……」
漸く福沢は納得した。
子供らしからぬ言動の理由も
物怖じしない理由も
相手を惨殺する事を躊躇わない理由も―――。
しかし、子供だったことには変わり無い筈。
然すれば。
「……家に帰りたいと思う事は無かったのだろうか」
「………。」
福沢がふと口にした言葉で太宰が急に口を閉ざす。
「?」
福沢が不思議に思い、口を開こうとした時。
「思ったのは連れ去られた日だけ。」
「「!」」
可愛らしい声が返事を紡ぐ。
「でも………結局は帰ったよ8歳の誕生日に。」
「「!」」
眠っていた筈のアリスが福沢の質問に答える。
太宰の方を向いて横になっているため、その表情を窺い知ることは出来ない。
思わぬところから回答がきたため、福沢どころか太宰までも驚いている。
「でもそれが最後。」
「……。」
静かに云い終えるとゆっくり身体を起こし、社長の方を見る。
その顔に表情は、無い。
「そのまま一緒に生活したいと思わなかったのか?」
「思わなかったよ。」
「何故?」
アリスは太宰の方をチラリと見る。
「……。」
そして一呼吸置いてから福沢の方に向き直り
「私はただ……2人を殺すために帰っただけだから。」
「!?」
静かに理由を告げた。