第9章 パラサイト
「頭が良いッて云うのも困りものですね。」
「嗚呼。此方の理解が追い付く前に、こいつは既に次の事が見えているんだからな。」
「乱歩さんや太宰さんなら兎も角、ボク達じゃお手上げですもんね。」
ハハハと申し訳なさそうに云う谷崎。
「お前が居なければ誤解したままだった。…礼を云う。」
「国木田君が私にお礼だなんて!」
大袈裟に驚く太宰。
五月蠅い!と怒鳴る国木田をアリスが起きてしまうからと止める谷崎。
「大分変わってきたんだけどね、アリスも。以前よりも素直に手を貸すようになっただろう?」
「……まぁ。」
「前は本当に困らない限り観てるだけでしたもんね。太宰さんと社長以外の云うこと、あんまり聞いて無いみたいだったし。あ、でも乱歩さんや敦君やナオミとは最初から仲良かったかも。」
「アリスにとって自分より年上は皆、大人。大人イコール敵だからね。この認識を変えることは多分…無理だろう。だから敵ではないと云う事を時間を掛けて示す他ない。」
「「……。」」
少し悲しそうに告げる太宰。思わず無言になる谷崎と国木田。
「あ、じゃあ太宰さんもそうだったンですか?」
少し重い雰囲気に何か話さなければと思ったのか谷崎が話を切り出す。
「否、私はアリスと本当に敵対したからね。逆にその後はアッサリしたものさ。」
「えェッ!?じゃあアリスちゃんが言ってた出会いは最悪だったッて本当だったンですか!?」
「谷崎、声が大きい!」
「んっ………。」
「「「!」」」
先程注意した筈の谷崎が思わず大声を出し、それを制止する為に国木田迄もが大声を発する。
そのせいか、アリスがうっすらと目を開ける。