第9章 パラサイト
「前回は裏組織の連中と一緒に居たけど、今回は違うみたいだね?その事をバラされてもいいのかな?」
「脅しの心算?まぁ、いいけど。好きにしたら?」
「本当に肝が据わっているね。君が何者か、様々な方面で探ったんだけど何も見付からなかった……何故だい?」
「教える訳無いでしょ?貴方達に関わる心算なんて皆無だったんだから。寧ろ、如何して私を認識していたのか知りたいわよ。…大方見当はついてるけど。」
はぁ。と溜め息を付いて返事するアリス。
「情報屋に潰される組織があまりにも後を絶たなかった。なのにその情報屋が誰なのか調べても判明しない。だから情報屋と接触した瞬間に――」
「矢っ張り、伝令を取り逃がしてたのか。」
「!」
逃走犯の男の言葉を遮るようにアリスが言う。
どうやら正解らしく、ニヤリと男が笑った。
「驚いたよ。真逆、我々の邪魔をしている情報屋が少女だったのだと知ったときはね。」
「ああ、そう。」
「でも、君を甘く見過ぎていた。真逆、ポートマフィアを味方に付けるなんて。」
「貴方達がポートマフィアを乗っ取ろうとしなければ彼等だって動かなかった筈だよ。利害が一致したから手を組んだだけだもん。」
「たとえそうだとしてもマフィアが一般人に快く協力する筈もないし、今、君が生きている事もおかしい話だ。」
「それくらい貴方達がポートマフィアの怒りを買ってたってことでしょ。」
「それだけの理由で?冗談。そんなに温いマフィアならとっくに手に入れてる!」
男が急に大声をあげる。
自分が唯一手に入れる事が出来なかった上、逮捕、死刑にまで追いやったマフィア達に立腹している様子だ。
「しかも、あの時君と一緒に居たのはポートマフィアの幹部、中原中也だった!」
「偶々、暇だったって云ってたからねー中也兄。」
「!矢張り、君もポートマフィアの人間じゃ…」
「違うよ。私はマフィアじゃない。」
男の推測をハッキリと否定するアリス。
「それに、生かされてるという点なら貴方も一緒。ポートマフィアに楯突いて生かされてるんだから。」
「!」
その指摘を受けて男が何かに気付いたような反応を示す。